羽田傾斜配分は「ぎりぎりの判断」-航空局長、透明性は今後勉強
国土交通省航空局長の田村明比古氏は12月16日の専門誌会見で、全日空(NH)に11枠、日本航空(JL)に5枠とした羽田空港昼間時間帯における国際線発着枠の配分について、「やむを得ないぎりぎりの判断」であったとの考えを示した。
傾斜配分の背景として田村氏は、JLの救済は「実質的に大手1社体制になるということはやはり競争もなくなってしまい、利用者の利便も大きく損なう」ことを避けることが原点であったとし、救済の結果として逆に競争が損なわれるとすれば「(原点と)違った方向に行ってしまう可能性がある」と指摘。「現状で体力に大きな差ができているのは否定できない」ことから「国土交通大臣の権限の範囲内で必要な判断をした」と説明した。
その上で、田村氏は「こういう判断をしなければいけなかった、というその状況がベストなものであるかというと必ずしもそうではない」としつつ、「結論自体が全く間違っているというようなご意見もあまりお伺いしない」とコメント。「極めて制約がある中での判断としては、やむを得ないぎりぎりの判断」であったとの考えだ。
なお、中長期的には、より良い発着枠の配分方法を検討していきたいとも言及。「混雑空港における発着枠にどういう法的な位置付けを与え、経済メカニズムも含めてどういう透明性を持った配分ができるのか」について、「国際的にも確立した理論があるわけではなく、各国とも苦しみながら制度設計をしようとしている分野」だが、「我々としても勉強すべき分野」であるとした。