カナダ、FIT強化、羽田線で地方需要の取り込みも

  • 2013年10月16日

(左から)CTC日本・韓国・南米地区代表のシボーン・クレチェン氏、国際担当副社長のジョン・マメラ氏、日本代表のモリーン・ライリー氏 (杭州発:特派 山田友樹)中国の杭州で開催中のショーケース・カナダ・アジア2013において、今年4月に新たにカナダ観光局(CTC)国際担当副社長に就任したジョン・マメラ氏が業界誌らのインタビューに応え、日本市場の現況や今後の取り組みについて語った。マメラ氏は日本市場について、2011年の東日本大震災後、着実に回復しており、2013年については「特に夏季シーズンの日本人旅行者が増えた」と説明。新しい傾向として、特にFITと若年層の増加を挙げた。

そのうえで、FITについては、FITに強い旅行会社とのパートナーシップやFIT向けの旅行商品へのアプローチを強めていき、市場に適した体験や新しいプロダクトを提案していく考えを示した。また、FITはフライ&ドライブとの親和性が高いことから、レンタカー会社との協業もさらに深めていくとともに、旅行会社を通じたレンタカー商品の販売も積極的に働きかけていく。

 また、マメラ氏は来春から開設予定の羽田の昼間時間帯を活用したカナダ線についても言及。「カナダにとって大きなニュース。エア・カナダ(AC)と全日空(NH)による新しいネットワークに大変期待している。観光の面でもカナダ全体に大きな利益をもたらすだろう」と期待を示した。

 加えて、地方から羽田経由でカナダに飛ぶ需要にも期待できることから、「チーム・カナダによる地方での需要喚起にも力を入れていく」(マメラ氏)考え。特に、デルタ航空(DL)が関空/シアトル線の運休を決めたことから、羽田経由での関西圏の需要の取り込みを強化していきたいとした。

 さらに、マメラ氏は来年度の予算について、「日本市場に対する予算規模は前年度とほぼ変わらない。来年度もトレードとメディアを中心にプロモーション活動を展開していく」と話し、これまでの取り組みを継続していく方針を示した。新デスティネーションの開発として、NHK朝の連続テレビ小説で赤毛のアンを日本に初めて紹介した村岡花子さんの半生を描いた「花子とアン」が2014年3月末から始まることから、赤毛のアンの舞台であるプリンス・エドワード島(PEI)に焦点を当てる。旅行会社と共同で商品開発に取り組むほか、メディア・プログラムやイベントなどを仕掛けていく計画だ。

 日本の旅行業界との関係については、「フェイス・トゥ・フェイスでの話し合いを大切にして、これまで以上に創造的なアイデアを出していきたい」考え。今後も、チーム・カナダとして旅行業界への働きかけを深めていくという。チーム・カナダには新しくケベック州も参加を表明しており、来年からハイエンド・デスティネーションとしてトレードを中心としたプロモーションを始める。

 今回で5回目を迎えたショーケース・カナダ・アジア。日本をはじめ中国、韓国、インドのバイヤーを一堂に集め商談会を開くスタイルは定着してきた。マメラ氏は「このスタイルに関してカナダのセラーからはいいフィードバックを得ている」とし、各国の市場の事情や特性は異なるものの、商談方法を改善しながら来年以降も日中韓いずれかの都市で続けていく方針を明らかにした。来年の開催都市については今後検討を進めていく。