JAL、日本発は羽田メイン、成田は際際ハブに-発着枠は公平配分を
日本航空(JL)代表取締役社長の植木義晴氏は9月18日の定例会見で今後の成長戦略の方向性について説明し、成田は国際線と国際線、羽田は国内線と国際線をつなぐハブ空港として位置づけていく方針を示した。2014年度に予定される羽田の国際線発着枠の再拡大を念頭に置いたもの。全日空(NH)が傾斜配分を要求する発着枠の振り分けについては、「均等に配分されるべき」と主張した。
植木氏は、「成田と羽田の戦略的位置づけを明確にする」とし、成田は「今後の拡張余地を考え、海外と海外をつなぐ“扇の要”として活用したい」と説明。特に経済成長力や人口規模などの観点から中国、インド、東南アジアと米国を結んでいく考えだ。現在、「際際ハブ」としての機能は仁川などに先行されているが、ターゲットとする地域間であれば、「地理的には成田はベストのポジション」であるとし、路線便数でも「十分に張り合える」という。
一方、羽田については「国内各都市と海外をつなぐゲートウェイとして地位が向上してきており、最大限活用したい」という。首都圏から海外、地方都市から海外の需要に加え、海外から地方都市への需要取り込みもめざす。
羽田の発着枠拡大について植木氏は、「東京オリンピックの経済効果は3兆円といわれているが、我々の試算ではそれに勝るとも劣らないものだと考えている」と言及。その上で、「(発着枠は)国民の財産と捉えており、その経済効果の最大化をにらんだ場合、各路線ごとに均等に配分されるべき」と強調した。
NHが、JLの再建過程で競争条件が不平等になったため羽田発着枠は傾斜配分されるべきと求めていることについては、法に則った再建でその効果も期間が限定されているのに対し、発着枠の配分は恒久的なものであり、「同じ観点で論じるべきではない」と主張。
また、羽田からの国内線はJLとNHで合わせて50路線ある中で、半数以上が単独路線であることから、国際線に乗り継いで各地に移動する消費者の利便性を考慮すれば「同じ方面に飛んでいるべき」と述べるとともに、同じ路線を2社が運航することで競争環境が確保できるメリットを指摘。さらに、アライアンス間の競争からも「国際的に公平な配分が求められている」とした。
このほか、ベトナム、インドネシアなど日本と相手国に1枠ずつの配分で合意している国についても、「今でも日中に出て早朝に帰ってくる便がほとんど」と語り、すでに運用されている深夜早朝枠を活用すれば、2社が1便ずつ運航することは可能であり、経済効果も高いとアピールした。