JATA業法検討委が初会合、年内に要望書提出へ
日本旅行業協会(JATA)は9月3日、旅行業法など諸制度の見直しの方向性を検討する「旅行業法等検討特別委員会(特別委)」が初会合を開催した。JATA理事・事務局長の越智良典氏によると、詳細を発表できる段階ではないものの「かなり突っ込んだ議論がおこなわれた」といい、年内に観光庁に要望書を提出するスケジュールで10月に2回目の会合を設けることが決まったという。
特別委は、観光庁が9月中にも招集する有識者会議のカウンターパートと位置づけるもので、委員長をジェイティービー(JTB)代表取締役社長の田川博己氏が務め、トップツアー取締役最高執行責任者の石川邦大氏、風の旅行社代表取締役社長の原優二氏、東日観光代表取締役社長の米村道章氏、首都大学東京教授で元観光庁長官の本保芳明氏が委員に就任している。
3日の会合では、「これから10年間ぐらいの旅行を巡る環境をどうしていくのか」といった点を含めて、「法案の具体的な内容というよりも考え方」から議論。「業界の意見をまとめた我々のためだけの業法ということではなく、一般消費者の方々を含めて、全体を通して旅行取引がどうあったら良いか」について意見が交わされたという。
要望書についても「単純で部分的な手直し程度」にはせず、JATA会長の菊間潤吾氏の就任時に立ち上げた政策検討特別委員会が6月に取りまとめた中間答申の内容を踏まえて、観光立国の実現と、それによる旅行業界の健全な発展、地位の向上につながるものとしていく。
なお、旅行業関連制度の見直しでは、2011年3月にJATAが標準旅行業約款の改正について観光庁に要望書を提出し、観光庁が「標準旅行業約款の見直しに関する検討会」を開催。JATA側は取消料規定の改正を求めていたが、消費者庁や消費者団体の理解を得られなかったことなどで頓挫。旅行業界内からも要望書の内容が不十分とする声も挙がっていた。
越智氏は今回の要望書について、これまでに「10回くらい各社の代表が集まって議論をしてきた」ことに加え、その内容をJATAの役員会で開示し、さらに海外旅行、国内旅行の各推進委員会でも報告して営業面での課題もヒアリングしたことを説明。特別委の議論のたたき台はこれらのプロセスを経たもので、「言い出せばきりがないが、業界の意見を集約した形になっていると思う」との考えだ。