観光庁、MICE競争力強化で最終とりまとめで課題提示-国の取組強化も
観光庁はこのほど、MICE国際競争力強化委員会の最終取りまとめを発表した。MICEについては、6月に閣議決定された「日本再興戦略」や「観光立国実現に向けたアクション・プログラム」で「多くの優れた知見、投資を日本に呼び込む重要なツール」として位置づけられている。今後は最終取りまとめに盛り込まれた具体的な方策を実行し、MICEの誘致、開催に引き続き取り組んでいく考え。
取りまとめでは、MICEのなかでも国際会議を中心に議論を展開。MICEの現状として、アジア・太平洋域内の国々との誘致競争が激化し、各国の台頭に伴い日本のシェアが減少してきていると説明した。こうした状況を踏まえ、都市やコンベンションビューロー(CB)、ホテル、会議運営事業者、旅行業者、DMC(デスティネーション・マネージメント・カンパニー)、運輸事業者などの「MICEプレイヤー」に対し、MICE競争力強化のために取り組むべき課題を提示した。
具体的には、行動基準のグローバルスタンダード化、重要目標の設定や他国との差別化をはかるなどのMICEマーケティングの高度化、チームジャパンなどチームとしての協力・連携の推進を提案。顧客視点のソリューション提供ビジネスの強化、組織強化と人材育成への対応、MICEの誘致を各地域の経済発展に結びつけるといったMICEの戦略的活用についても課題としてあげた。
さらに、MICEプレイヤーごとの課題や役割も整理。例えば旅行会社やDMCに対しては、海外に比べMICEへの対応や環境整備が遅れていると指摘。海外の主催者からは専門的な知識とクリエイティブな企画力、実行力をさらに充実させてほしいという強い要望があるとし、MICEに対する取組の更なる強化を求めた。
また、取りまとめでは国が支援すべき4つのテーマと18のアクションを設定。テーマは「都市の誘致競争力の強化」「MICEプレイヤーの強化」「チームジャパンの誘致体制の構築」「国・都市の戦略実現ツールとしてのMICEの活用」で、各テーマでおこなう対策をまとめた。
都市の誘致競争力の強化では、MICE誘致のポテンシャルが高く、十分な実力と意欲がある都市を「グローバルMICE戦略都市」とし、マーケティングの高度化などを集中的に支援する。また、CBと民間事業者の連携促進、情報共有の強化、ユニークベニューの開発・利用促進、出入国手続きの迅速化、円滑化などに取り組む。MICEプレイヤーの強化では、CB組織の強化やMICE関係事業者の組織化の支援、人材育成などを実施する。
チームジャパンの誘致体制の構築では、国内外で強い影響力のある研究者や産業界のリーダーを「MICEアンバサダー」に任命し、MICE誘致の啓蒙やMICE誘致体制構築などをおこなっていく。このほか、日本の新しいMICEブランドの構築・強化、海外ネットワークの強化、政府の横断的体制の構築、在外公館や関係府省との連携した活動などを実施。さらに、観光庁と日本政府観光局(JNTO)にMICE相談窓口を設置した。
このほか、国・都市の戦略実現ツールとしてのMICEの活用では、成長分野をターゲットにしたMICE誘致、開催に向けた連携と、MICEを活用した日本の情報発信、ブランディング活動の展開に取り組んでいく。各テーマと実施項目については、定期的なフォローアップをおこなっていくとした。