JATA菊間会長、人材育成でeラーニング構築へ-業法改正も取り組み

  • 2013年6月26日

 日本旅行業協会(JATA)会長の菊間潤吾氏は6月26日の定例会見で、旅行業界の人材育成を強化していく考えを示した。JATAではこのほど政策検討特別委員会(特別委)で中間答申を発表しており、アクションプランの一つとして魅力ある業界づくりと優秀な人材の確保をあげている。菊間氏は「旅行会社のスキルアップのために何をするかといった研修的な話は(今まで)テーマとして上がってこなかった」とし、特別委で引き続き取り組みを強化していくとした。

 具体的には、旅行業界全体のスキルアップをはかるため研修システムの構築をはかる。菊間氏は「旅行会社、特に中小では、社員のスキルアップのための研修システムの構築は難しい」と説明。eラーニングシステムを構築することで、各社のスタッフが空き時間に効率的に知識が身につく仕組みづくりをおこなう考え。今年度中にシステムが立ち上がる見込みだ。

 また、株式会社ジャタを活用し、旅行業界の発展のため優秀な人材の確保もはかる。菊間氏は旅行系の学部、学科がある大学から業界への就職率の低さを指摘し、合同就職セミナーの実施や、ミスマッチのない就職活動支援、各大学で業界の魅力を伝える機会を作るなどの活動をしていきたいと述べた。

 さらに、ジャタでは業界全体のコストカットをはかるためのコンソーシアム的な役割も担いたい考え。会員各社のダイレクトメール発送や、パンフレットの印刷を一本化するといったアイディアがあるといい、有識者の集まりを設けて今後検討していきたいとした。また、旅博の運営事務局の役割についても「今後ジャタと連動できるようなベースを作っていきたい」考えだ。

▽旅行業法改正への取り組み積極化、ANTAとの共同も

 また、旅行業法改正についても積極的に取り組んでいく。菊間氏はオンライン・トラベル・エージェントの動きやグローバルスタンダード化など業界環境の変化を踏まえつつ、「諸外国が10年先を見つめてどのような仕組みづくりをしていくのかを見比べながら、我々が遅れをとらないようにしなければならない」と述べた。今後は「旅行業の存在意義を見出し、我々の経営を強化していけるのかを含め、色々(提案を)揉んでいきたい」とし、JATAの各委員会で改善点や意見を取りまとめ、今秋には観光庁に提案していく予定だ。

 また、全国旅行業協会(ANTA)とも協力していく。ANTA側に勉強会の実施や業法改正専用の委員会の設置などを提案し、協働して取り組んでいく考えだ。