カナダ各州、日本市場の底上げに工夫、通年化など課題も-RVCレポート(2)

  • 2013年6月25日

オーロラ効果で旅行者増、新たな素材のアピールも

アルバータ、カルガリー線通年化の効果-オーロラ以外の素材も

アルバータ州観光公社市場開発担当ディレクターの小西美砂江氏(右)とアジア・ラテンアメリカ担当マーケティング・ディレクターのカレン・ソイカ氏 昨年ACが成田/カルガリー線を通年化し、マーケット動向にも変化が現れてきたアルバータ州。アルバータ州観光公社市場開発担当ディレクターの小西美砂江氏は「商品化しやすくなったことで、ルームナイトも現地消費額も増加した」と、航空アクセス向上の効果を語った。今後も引き続き、カナディアンロッキーをはじめとする5つの世界遺産を前面に出しながら、商品のバリエーションを増やす取り組みを進めていく。また、フォート・マクマレーでのオーロラ鑑賞のアピールも強化。その認知度を上げながら、オーロラとカナディアンロッキーとの組み合わせも提案していきたい考えだ。

フォート・マクマレー観光局CEOのフランク・クリーシー氏 オーロラ鑑賞について、フォート・マクマレー観光局CEOのフランク・クリーシー氏は「オーロラベルトの南にあたるため、鑑賞できるシーズンは長い」と利点を強調。また、オーロラ以外の魅力として、あらゆる年代が楽しめるソフトアドベンチャー、エネルギー都市としての教育旅行素材を挙げたほか、カルガリー、バンクーバー、トロント、デンバーなどからの便が多く、日本からのアクセスも容易だとアピールした。

 

エア・カナダ、カナダ直行のメリット強調-米国航空会社との競合で

AC日本地区旅客営業・マーケティング本部長のワイス貴代氏 エア・カナダ(AC)は昨年、成田/カルガリー線を通年化。今年夏期スケジュールからデイリー運航も開始した。日本地区旅客営業・マーケティング本部長のワイス貴代氏は「円高や2011年からのリバウンドなどがあり、2012年はいい年だった。ACのなかでの日本路線のプレゼンスが高まった」と振り返る。しかし、今年は円安で厳しい状況だとし、「為替のロスをできるだけ減らすためにも、ボリュームを増やしていく必要がある」ことから、CTCとのコラボレーションを重視していく姿勢を示した。

 また、カナダへのアクセスでは、最近日本/米国線が充実してきたことから、米国経由便との競合も激しくなっているのも事実だ。「安い値段を出してくるので脅威」とワイス氏は語る。さらに、米国経由便では、米国入国の際にESTAを取得する必要があり、その取得料の一部が「ブランドUSA」のプロモーションに使われていることから、ACの立場としては「カナダ観光プロモーションの点でいかがなもの」と話した。

 ワイス氏は米国経由便は入国審査に時間がかかりストレスが多いとし、ACとしてはカナダに直接入国できるメリットを前面に出していく考えを示した。また、国内線ネットワークが充実しており、「時間を無駄にしないアクセスが可能」な点も強調。北米国際線ベストエアラインに選ばれたサービス面での差別化も積極的にアピールしていく。


取材協力:カナダ観光局
取材:山田友樹