JATA、13年度は価値競争へ重要な1年、重点課題に位置付け
▽具体的施策、長期的課題も
各課題に対しては、2点から6点の具体的な施策の方向性を掲げた。まず、中村氏の発言から最重要課題といえる「価値創造」では、研修やセミナーの充実による観光開発力や旅の価値の提案力の強化をはかる。また、宿泊旅行の拡大によって着地型旅行の普及と地域振興の推進に取り組むほか、すでに開始したツアーオペレーター品質保証制度などによる訪日旅行の質を進める。さらに、社会貢献活動の充実や、安全・安心な旅を提供すると信頼される旅行業界の構築をめざす。
「需要創出」関連では、チーム・ヨーロッパや日米交流年、日・ASEAN友好協力40周年などにあわせた展開をはかり、ツーウェイツーリズムも推進。新市場開拓と地域市場の活性化としてチャーターやクルーズ、MICEなども強化するほか、若者旅行の促進、JATA旅博の広報・マーケティング力の充実と強化に取り組む。また、震災復興支援活動も継続する。
「経営基盤の安定化」では、経営フォーラムやセミナーなどを通して新たなビジネスモデルを検討。消費者同行の変化、グローバル化の進展といった環境変化への対応を進め、燃油サーチャージ、チャーター、LCCなど航空関連の諸問題も引き続き取り組んでいく。標準旅行業約款や旅行業法制度の改正については、観光庁と連携。その際、会員各社にも情報を適切に発信し、「一緒に検討していく」(菊間氏)考えだ。また、関係機関と連携した経営環境の整備や障壁除去、人材育成と優秀な人材の確保に向けた活動も実施する。
「コンプライアンス/リスクマネジメント経営」では、各種のガイドラインとマニュアルを整備して会員に徹底。重大事故などが発生した際に、的確に情報を収拾し情報を発信できる体制の確立もめざす。
さらに、「広報活動の強化」では、統計資料などを活用し、国内外に向けて日本の旅行業の社会的有用性をアピール。JATAの業務や活動をバックアップする広報活動をおこなう。
これらの施策の実行に向けては、「具体的な数値等の目標設定およびその検証」、「支部・地区委員会との一体的な活動と、地域性に応じた事業活動」、「業界団体としての情報発信、交渉・折衝力の強化」、「観光を取り巻く諸制度・環境の改善への取り組み」、「環境変化に対応できる運営基盤確立と共益事業強化」、「経営・栄養のサポートを旨とした法務等の会員サービスの向上」、「スピード感、実行力を備えた事務局体制」が必要であるとした。
なお、2012年度に取り組む課題以外にも、「新しい旅のスタイル、価値観を提案する旅行業ビジネスモデル確立」と「観光地域の魅力創出など旅による地域振興の推進」、「国民の休暇取得の促進」の3点を長期的課題として提示。2015年度までを目処として継続的に検討していく。