JATA、若者、燃油、地域振興の取組み強化-13年度事業計画
日本旅行業協会(JATA)は2013年度の事業計画骨子に、政策検討特別委員会で優先的に取り組むべき課題として位置付けられた若者の需要喚起、燃油サーチャージなど航空問題、地域振興を盛り込んだ。具体的な展開は各委員会や支部で個別の事業計画を策定することになるが、例えば燃油サーチャージでは行政への働きかけについて方法を見直すなど取り組みを強化する。
13年度の計画骨子は、全体的には昨年度までから大きな変化はないものの、JATA会長の菊間潤吾氏が就任以来訴えている「価値創造元年」を前面に打ち出し、「観光立国実現に向けた飛躍の年」とする姿勢を強調。
基本方針としては「海外、国内、訪日すべての需要拡大と業界の活性化」「旅行業の社会的地位向上と安定的な利益確保」「安心安全の旅を確保・推進した上で量の拡大と質の改善」「国内・国際交流人口の拡大による地域経済などの活性化」「旅行の促進などによる継続的な震災復興支援」「一般社団法人として会員の共益に資する活動と円滑な運営の確保」の6点を掲げた。
その上で、5点の重点課題として、「(1)旅行会社による新たな価値の創造」「(2)新たな旅行需要創出などへの取り組み」「(3)旅行会社の経営基盤の安定化」「(4)コンプライアンス/リスクマネジメント経営促進のための取り組み」「(5)広報活動の強化」を列挙している。
このうち(1)では、研修やセミナーを充実して旅の価値を提案できる能力を強化するほか、着地型旅行の普及と地域振興の推進を盛り込んだ。さらに、訪日ツアーオペレーター認証制度など訪日旅行の質の向上、社会貢献活動の充実、旅行の安全性について信頼される旅行業界の構築にも取り組むとしている。
また、(2)の需要創出ではチーム・ヨーロッパや日米観光交流年、日・ASEAN友好協力40周年などに合わせた活動を展開するほか、ツーウェイツーリズムの推進、チャーターやクルーズ、MICEなど新市場開拓と地域市場の活性化を進める。若者の旅行需要喚起もこの重点課題の1項目として盛り込んだ。
(3)では、経営フォーラムやセミナーなどを通じた新たなビジネスモデルの検討、消費者動向の変化やグローバル化の進展など環境変化への対応、経営環境の整備、人材の育成や確保に取り組む。また、燃油サーチャージ、チャーター、LCCなど航空問題への対処や、標準旅行業約款を含む諸制度の検討と提言もおこなう。
燃油サーチャージについては、これまで航空会社を所管する航空局に要望をおこなってきたが、需要の阻害要因になっている点が観光立国にとって障壁になるという視点から、観光庁を通じて要望していく。また、人材関連では旅行業界で働くことの魅力を新卒を含む求職者にアピールする機会の設定を検討する。
なお、新しい旅行のスタイルや価値観を提案するビジネスモデルの確立や、地域の魅力創出など旅行による地域振興、国民の休暇取得の促進は長期課題としても位置づけており、2015年度までをメドに検討を継続していく方針だ。