上期商品は旅行会社の力を前面に-店頭との連携重視、教育を強化
デスティネーションは多様化
ANAセールスは利用航空会社増加で大幅拡充
商品ラインナップも拡充する傾向だ。特にANAセールスは前年比63.6%増の全1335コースに大幅に増加。全日空(NH)の国際線拡大の方針を受けつつ、外航利用を増やし、新規デスティネーションに積極的に取り組んだ。例えば、ユナイテッド航空(UA)の新規路線・成田/デンバー線利用の商品や、新たにトルコ航空(TK)、南アフリカ航空(SA)、ウズベキスタン航空(HY)なども利用を開始。外航利用商品は前年の5社・27コースから、12社・全80コースに拡充した。
あわせて、商品ラインナップは3ブランドで揃えつつ、わかりやすさを重視してターゲットを明確化。そのため、ヨーロッパでフリーステイを別冊化するなどパンフレットの種類を増やしており、今後は夏休みに向けてファミリー層向けの新商品を販売する予定だ。
このほか、JTBWVはデスティネーション・クローズアップで初めてアジア方面のスリランカを取り上げたほか、KNT個人では南極クルーズを究極のテーマ旅行として単独パンフレットで展開するなど、各社ともデスティネーション開発を強化。一方、定番方面でもハワイでの隣島商品や、フリー型ツアーの多いアジア方面で企画新商品が誕生するなど、新商品への取り組みもおこなわれている。
旅行中の過ごし方、利便性も配慮
旅行中の楽しみ方を提案する動きも強まっている。JTBWVでは85%を占める個人型旅行への対応として、現地滞在中の旅行者に最新情報を提供するスマートフォンアプリケーションサービスを開始するほか、ハワイ、グアム方面にはお勧めの過ごし方を紹介する小冊子を配布。「過ごし方を提案することがお客様の感動につながる」(常務取締役商品本部長・井上聡氏)と取り組みの理由を説明する。
また、利用者アンケートの結果から利便性の向上も重要と判断し、現地で運行するシャトルバスをハワイ、アジア、オセアニアの3方面で計6コース追加した。現地交通については他社も強化しており、ジャルパックではマウイ島で新たにシャトルバスを運行。ANAセールスとKNT個人のライライトロリーもダイヤモンドヘッドへのルートを開設する。
このほか、ジャルパックでは台湾の九ふん観光は夕暮れ、中国の蘇州観光は夜など、訪問時間や季節にもこだわった。「旅行会社が介在する意味を込めた」(二宮氏)と、プロとして旅そのものの魅力を上げる提案をしていく方針だ。