JATA東北復興支援、視察や意見交換で観光振興のヒントを-いわき視察より

  • 2012年12月25日

宿泊施設の受入の課題も
旅行会社の視点を復興に活かす

いわき観光まちづくりビューロー専務理事兼事務局長の平山武博氏。「皆様の協力を得ないと観光業は発展していかない。是非協力して欲しい」と呼びかけた  需要喚起策が話し合われる一方、旅行会社からは課題として、宿泊施設の受入体制の整備を求める意見が出された。ある大手旅行会社は今秋に団体の宿泊手配をしようとしたが、宿泊施設の受入が不可能だったため方面を変更したと話す。

 いわきでは震災の影響で宿泊施設や客室の数が減少したのに加え、震災復興や原発対応の作業員を受入るために観光客の受入が困難な施設があり、いわき湯本温泉では観光客用のベッド数は震災前の半分まで減少しているのが現状だ。旅行会社からは「(湯本は)観光客の姿がなく思ったよりも閑散としており、観光を楽しむといった雰囲気ではない」との意見も出されていた。

 その一方、観光客向けに積極的な展開している宿泊施設もある。スパリゾートハワイアンズは今年2月8日から本格的に業務を再開するとともに、500名を収容する新ホテル「モノリス・タワー」を開業。消費者からの人気も高く、メディア系の旅行会社からは集客効果が高いためツアー造成しやすいとの声があがった。ただし、旅行者が一極集中しているという課題もあるため、今後スパリゾートハワイアンズを中心に周辺地域が協力体制を築き、地域全体の活性化につなげていく必要があるとの指摘もあがった。

JATAではプロジェクトのロゴマークを作成。各社パンフレットへの掲載を呼びかけている  こうした指摘に対し、地元の観光業者からは、送客側の視点での意見は地元ではなかなかでない、今回は観光振興のためのアイディアを得ることができて有意義だった、と前向きに捉える声があがった。また、JATAによると、今回の視察は「国内旅行にも目を向けてもらいたい」という考えから海外旅行担当者の参加も受け入れたが、部署にかかわらず、提案や改善点などさまざまなアドバイスが積極的に出されており、理事長の中村達朗氏も「(意見交換会などで)地方の観光関係者と交流がしっかりできた。実施してよかった」と振り返った。

  今後もJATAとして東北復興支援の取り組みを継続していく方針で、まずは視察参加者を対象に、国内、訪日商品の造成コンテストを実施し、商品造成、販売までつなげていく。応募は年内までで、2013年2月に入選者を発表。入選コースは募集型企画旅行として商品造成してもらうという。一部の海外旅行専門の会社からはこれを機に商品を造成したいという話も出ているといい、国内を扱う旅行会社以外からも、同プロジェクトへの注目が実感できたとした。