現地レポート:クロアチア、ドブロブニク路線増加で新商品の可能性も
海外旅行の高頻度層中心に人気が安定化
アクセス利便高まり、新ツアーの可能性も
クロアチアへの日本人観光客数は、オフラインにもかからず、この数年14万人前後で推移し、堅調な人気を維持している。旅慣れたシニア層をターゲットに、スロベニアとの組み合わせや中欧諸国からの周遊ツアーが多いが、リピーターも増えている今はツアーバラエティの拡充を考える頃合といえる。その後押しとなるのが、今夏に予定される欧州域内/クロアチア間の路線拡充だ。特にドブロブニクが多く、その先陣を切って4月2日からフィンエアー(AY)がヘルシンキ/ドブロブニク線を週3便で開設した。今回はブロブニクを核に、新ツアーの可能性を考えてみたい。
クロアチア観光のハイライト
ドブロブニクの人気の理由
ドブロブニクは人口4万人強の小都市だが、年間約100万人の外国人観光客が訪れる。クルーズの寄港も多く、世界遺産の旧市街の入り口となるピレ門近くのバスターミナルには乗客を運ぶバスが次々に停車し、目抜き通りのプラッツァ通りは各国の旅行者が行き交う。
日本人旅行者の最大の呼び水である旧市街は、1周約2キロ、端から端まで400メートルほど。この中に多様な建築様式の教会や宮殿、総督邸など、町の歴史を物語る見どころが点在する。ぐるりととり囲む城壁が遠方の視界を遮るので、まるで中世の箱庭に入り込んだような雰囲気だ。城壁の上を歩けば、青いアドリア海と空をバックにオレンジ色の瓦屋根の街並みが広がり、そこに暮らす人々の生活も垣間見られる。歴史、文化、絶景の素晴らしさを一度に楽しめる上、徒歩で歩くのにはちょうど良い規模で、観光しやすいのが旅行者をひきつける理由のひとつだ。
ドブロブニクは、アドリア海の入り口という地理をいかして地中海交易で栄え、14世紀から16世紀にはベネチアと肩を張るほどの繁栄期を築いた。世界80もの都市に領事部を置き、700もの商船を保有していたという。ピレ門の近くにあるフランシスコ会修道院も、その隆盛を知ることのできる建物のひとつ。中庭と回廊の素晴らしさはもちろん、併設の博物館や1391年開業で世界で3番目に古いというマラ・ブラーチャ薬局も注目したいポイント。
修道院では当時、薬草を栽培して市民のための薬を作っていたといい、博物館には薬のレシピや、壷や秤といった処方の際に使用した道具が数多く残されている。そんなレシピを生かして作ったクリームやローションが薬局で売られ、お土産で購入する日本人が多いという。このほか、博物館には金銀製品や豪華な刺繍を施したローブ、聖遺物などもあり、見ごたえ十分だ。
一方で、ドブロブニクは絶えず各国から侵略の危機にさらされていた。石造りの城壁は、そんな歴史の上に造られたもの。当時、憲兵が歩いたその道は幅が1メートルほどの細い部分もある。路面はでこぼこしているし、急な階段もあるので、城壁ウォークの際は注意が必要だ。眺望の美しさに視線が遠くにいってしまうが、足元はもちろん、周囲の人との接触にも十分に気をつけるように伝えたい。
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