現地レポート:タイ、カオラックの魅力、南部の新デスティネーション
国立公園、エコ要素も豊富
ビーチリゾートに留まらない、カオラック
津波で甚大な被害を受けた後、
住民の尽力で復活
2004年のスマトラ島沖地震による津波で、タイは約4500人の犠牲者を出した。実はそのほとんどが、カオラック周辺の観光客や住民だった。その後、カオラック近くのバンナムケンの町には「ツナミ・メモリアルパーク」が作られ、ツナミ展示館を作る計画も進行中だ。
「サオリ・ウェーヴィング・プロジェクト・センター」は、津波でシングルマザーになった女性たちの自立を支援するため、タイに住む日本人僧侶が立ち上げた。日本の卓上織物機「サオリ」を使い、現在も30人の女性が織物に取り組んでいる。商品は「サオリ」と名づけられ、地元やバンコクで販売されている。
カオラック復興の旗振り役となったのが、津波の1ヶ月後にオープンを控えていたホテル「サロジン」だ。ホテルレップのサンヨーインターナショナル代表取締役の土橋告氏によると、周辺のホテルが次々と引き上げる中、津波の10ヶ月後にオープンを果たした。各部屋には感謝を込めて、復興に尽くした従業員たちの名前を付けている。
偶然とはいえ、日本人にとって「津波からの復興」は旅をする際も1つのキーワードになろう。「ツナミ・メモリアルパーク」や「サオリ・ウェーヴィング・プロジェクト・センター」を訪問してカオラックの一面を知るのも、旅の意義を深めてくれる。前述のリトル・アマゾンやオールド・タクアパ観光と組み合わせれば、味わいのある1日のツアーが造成可能だ。
カオラックでは現在、ハザードマップが作られ、多くのホテルで定期的に避難訓練を実施している。町では中高年のカップルや家族連れが目に付き、日本から、カオソック国立公園でアクティビティを楽しんでいるという女性にも出会った。送客に向けては、FIT向けのパッケージツアーやカオラックのリゾートを手配し、国立公園などの日帰りツアーを好みに応じてオプショナルツアーを提案するのがおすすめだ。夕日を眺めながらのディナーやタイ式マッサージなど、ホテルライフを楽しむ要素も多い。できれば3泊以上の滞在型ツアーを提案したい。
バンコクの新名所「アジアティック・リバーフロント」
2011年に発生した大洪水について、TATは12月に観光地における終息を宣言した。今回の視察時にはバンコク市内においても洪水の跡形はまったく見られず、市内に約100あるゴルフ場も、芝のダメージが残る6ヶ所以外は通常通りオープンしている。
さらに4月にはチャロンクルン通りに「アジアティック・リバーフロント」がグランド・オープンした。スアン・ルム・ナイトバザールが移転したもので、雑貨やファッション、飲食店を中心に約2000店舗が出店。昼も営業しており、欧米の港町のような雰囲気を醸し出す大ショッピングモールだ。6月には各種劇場もオープンする予定で、国内外の観光客にとって新しい名所となるだろう。
取材:戸谷美津子