「マレーシア100万人」に向け共同事業、JATAと観光局

  • 2012年4月10日

JATAとマレーシア政府観光局関係者
(前列左から2人目がJATA佐々木会長、3人目がマレーシア政観チョン副総局長)
 日本旅行業協会(JATA)とマレーシア政府観光局は4月10日、2015年までにマレーシアを訪れる日本人旅行者の数を100万人に増加する「マレーシア100万人プロジェクト」の推進について覚書を締結した。マレーシアへの現在の日本人旅行者の数は平均して年間約40万人。プロジェクトにより双方が情報を共有し協力しつつ、マレーシア側は安定的に100万人の日本人を受け入れられる環境を整備し、日本側は送客に向けて取り組む。送客数だけでなく滞在日数も重視してマレーシアへの経済的な貢献をはかるとともに、日本のグローバル人材の育成への寄与もめざす。

 覚書の調印式でマレーシア政観副総局長のチョン・ヨクハー氏は、「過去に例を見ない取り組みであり、100万人を達成した暁には記録に残る事業になる」と強調。JATA副会長の佐々木隆氏も、「(100万人は)アジアの中で中国や韓国、台湾、香港、タイといったデスティネーションの規模で、100万人まで行けばリピーターの数を含めて持続的に発展し続けることができる」とし、「安定的なレベルまでマレーシアを育て上げる」と意欲を語った。

 佐々木氏によると、日本の旅行会社として、社会的に安定していて日本人旅行者が街歩きをできるようなアジアのデスティネーションを育てたいという思いと、マレーシア側の「日本人が安定的に100万人来て楽しめるようなデスティネーションにするために協力したい、情報を共有したい、なおかつ政府としても受け入れ態勢の整備を着実にやっていきたい」という思いが合致し、「思い切ってこのプロジェクトを開始することにした」という。

 今回のプロジェクトの発端はJATA海外旅行委員会が昨年6月に現地を視察したことであったといい、すでに10月から11月にかけて両国それぞれで課題を整理。マレーシア側は「新ブランド戦略」「観光基本データの活用」「航空問題」「リゾート・ホテル開発」「観光素材開発」、日本側は「商品流通」「プロモーション手法」「情報共有と教育」を課題として抽出した。JATAでは海外旅行委員会など会員の22社にマレーシアの現状のアンケート調査も実施している。今後、こうした結果を踏まえ、2012年10月までを目処としてアクションプランを策定し、双方の予算も確定していく計画だ。