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JTB100周年、「守るべきもの、変わるべきもの」-記念式典から

  • 2012年3月19日

▽「創新」-時代に先行する「仕掛け」

 「温故」が守り続けなければならないものであるのに対し、「創新」は「常に変わり続けなければならないもの」だ。田川氏は、社会、経済、消費者の選好意識などが急速に変化し、異業種を含めた競争の激化も予想されるなかで、「この変化への対応が後手に回れば、これまで築いてきたブランドの価値を損なうばかりでなく、存亡の危機に立たされる可能性もある」と危機感を示す。

 田川氏は、変化への対応には「常に時代に先行して変革する」ことが必要であり、それは「継続的に仕掛け」を続け、新たな市場を創出していくことであると説明。具体的な手段としては、DMC(デスティネーションマネジメントカンパニー)事業のさらなる推進と、シンクタンク機能を有する新会社“JTB総合研究所”の設立を例示。DMC事業は、「地域経済の活性化に貢献しながら地域とともに発展していく会社」をめざすものだ。「受け地から情報を発信してお客様に来ていただく取り組みが、今後ますます不可欠になる」との考えで、グローバル展開においてもDMC事業を重視する姿勢だ。

 一方、JTB総合研究所は「これまでの100年でつちかってきた旅行産業、ツーリズム産業の総合的なノウハウ、知見を集大成し、今後のツーリズム産業の発展に貢献できる研究所」とし、観光立国といった国策の実現などに積極的に取り組んでいきたいという。



▽復興支援に向けた誓い

 田川氏と、田川氏に先立って挨拶した代表取締役会長の佐々木隆氏はともに、100周年を迎えるにあたって震災被災地の観光復興への貢献に強い意欲を示した。

 佐々木氏は、「100年前の本日、まさに国を思う気持ちによって設立されたジャパン・ツーリスト・ビューローを前身に持つJTBグループが、100年経って再び次の100年も観光による地域振興、あるいは観光立国という国の政策に携われるということに、大いなるめぐり合わせと誇りを感じている」と言及。その上で、「次の100年に対してスタートする最初の日に、我々がすべきこと、最も大切なことは被災地の観光復興支援である」と語った。

 また、田川氏も「外国人旅行者が日本に大勢来るという姿は、まさに復興の象徴である」と指摘。「旅の力で日本を元気に、まさに復興を実感できるよう、日本のツーリズム産業を高いレベルで活性させることが重要」であると強調した。

 なお、佐々木氏は挨拶の中で、100周年の式典自体を震災の1周年追悼式の翌日に実施すべきかどうか悩んだものの「被災された地域の観光復興の支援こそが我社の使命」と開催を決断したと説明。式典当日も、「東北観光復興応援プログラム」と題して、東北観光推進機構会長の高橋宏明氏と、河北新報社代表取締役社長の一力雅彦氏による講演もおこなわれた。