JTBが100周年、「次の世紀」に向け温故創新-新会社設立も

  • 2012年3月12日

JTB代表取締役社長の田川博己氏  ジェイティービー(JTB)グループは2012年3月12日、創立100周年を迎えた。都内で開催した記念式典で同社代表取締役社長の田川博己氏は、3月12日を「第2の創業の日」と位置づけて「未来に向けて新たな世紀を切り開いていく」ことに意欲を示した。

 「新たな世紀」の定義として田川氏は、「交流文化産業そのものが社会に貢献する世紀、つまりツーリズム産業の一翼をにない、交流を創造し、促進する当社グループが社会にその存在意義を認められ、世界中の人々から必要とされる企業グループとして永続している世紀」であると説明。

 その上で、「遠大な理想ではあるが、この理想の実現に向けた一歩一歩が当社グループの成長そのものであり、同時にツーリズム産業の新しい形を発展させ、社会貢献につながるものと確信している」と語った。

 この実現に向けては、「温故創新」が重要であるとの考え。「温故」については、「当社グループが100周年を迎えることができたのも、お客様に正対し、新しいマーケットを作り出すことで需要を創出し、社会の発展や日本の国際化に貢献し続けることができた結果」であるとし、この基本姿勢を守り、伝えていくという。

 一方、「創新」については「仕掛け」が重要であるとし、観光による社会や経済の活性化に注目が集まるなど外部環境が変化する中で、「能動的に自ら仕掛け、着実に時流の一歩先を進んでいくよう展開していきたい」と語る。

 具体的には、DMC(デスティネーションマネジメントカンパニー)事業の推進、旅行の質の向上や転換、人材育成を重視する方針だ。さらに6月にはシンクタンク機能を持った新会社「JTB総合研究所」を設立する計画。「これまでの100年で培ってきた旅行産業、ツーリズム産業の総合的なノウハウ、知見を集大成し、今後のツーリズム産業の発展に貢献できる研究所」とし、観光立国の実現などに貢献していきたいという。

 このほか、4月に東京と仙台で開催される世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)のグローバルサミットも仕掛けの場として捉え、「観光立国をめざす日本の意思を明確にし、国際的な誘致競争が激化しているアジアの中で、日本がツーリズムのリーダーになれるような流れを作っていきたい」と語った。

レセプションには約1300名が参加した  なお、式典では国土交通大臣政務官の室井邦彦氏、東日本旅客鉄道代表取締役社長の清野智氏、JTB協定旅館ホテル連盟会長の福田朋英氏、式典に続いて開催したレセプションでは全国旅行業協会(ANTA)会長で衆議院議員の二階俊博氏、日本観光振興協会会長の西田厚聰氏が祝辞を述べ、観光庁長官の溝畑宏氏が乾杯の音頭をとった。