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ホールセール特集(2):各社販売戦略、パンフレットに力点

  • 2012年2月29日

店舗縮小の中でも「人」を通した販売に期待

KNT執行役員・海外旅行商品事業本部本部長の田口久喜氏  KNTの田口氏は、「店舗もホールセラーも数は減っているなかで、生き残っていくためには人を通じて商売をする方法に切り替える必要がある」との考えだ。インターネット販売が拡大するなか、あえて販売店の役割を見直す動きも出ているが、店舗統合などにより販売店の数は全体的に減っているのが現状だ。資源と人材の集約が進み、来期も減少する傾向は変わらないとの見通しだ。

 そうしたなか、KNTでは販売店のスキルアップに取り組んでいる。直営のKNTツーリストについては、コンサルティング専門の講師による研修、方面別のセミナーなど実施する一方、提携販売店へのサポート強化として、営業担当者に企画担当者レベルのスキルを身につけさせる研修も進めている。

 また、販売店戦略でもこれまで以上にきめ細やかな対応が求められている。田口氏は、直営販売店では店舗によって販売傾向はだいたい決まっていることから、「その傾向を精査しながら、商品戦略を練っていく必要がある」とし、「家賃や人件費を考慮した上で収益をあげられる商品も出てくるのでは」とも話す。また、提携販売店についても、「無料でパンフレットを送るコストを考えると、卸す販売店を選ぶ場合、費用対効果は考慮せざるを得ない」と付け加えた。

 一方、JTBWVの太田氏は「販売店の数が減ってきているからこそ、協力関係を強化していくべき」と強調する。JTBWVでは今年商品ラインアップを増やした。「どの販売店でもルックを販売しているという基本スタンスは変わらないが、豊富なラインアップから商品をチョイスしてもらいたい」と話し、販売店から見たマーチャンダイズ戦略に貢献していきたいとの考えを示す。販売店の教育については、商品発表にあわせて定期的に勉強会を実施。また、営業担当が店舗単位でミーティングを開くなど商品企画の理解浸透に努めている。

 ANAセールスも、「店頭チャンネルの縮小という流通の変化」を認識している。そのなかで、重視しているのが店舗での高品質商品の展開だ。例えば、価格競争に巻き込まれにくい「感動の旅」シリーズなどを中心に店舗での販売を進めていく考えだ。単価の高い商品の販売はホールセラー、販売店双方にとってメリットは大きい。

 一方、阪神航空フレンドツアーが卸す販売店数は上述の通り増えた。「営業はトラピックスやクリスタルハートと同じ。統合3年目にしてようやく営業態勢も根づいてきた」と川上氏はシナジー効果を強調する。販売店との協力についても、阪急の販売店専用ホームページを利用することで、売れ筋コースの紹介やそのサイト上でのウェブ予約など統合効果を最大限活用している。また、新商品が発売されるタイミングでリテーラー向けの説明会も実施。営業サイドからは定期的にメールニュースを配信するなど密なコミュニケーションを心がけている。

取材:山田友樹