12年の展望(2):今年は前年超え予測、訪日の苦戦続く-アンケートより
訪日旅行、厳しい見通しも-原発の風評被害払拭が課題
訪日旅行では厳しい見方を続ける旅行会社もあった。取り扱いのある20社のうち、10%以上増が7社、5%増から9%増が2社と約半数がプラス推移を見込むものの、プラスマイナス4%以内は5社、5%減から9%減と10%以上減がそれぞれ3社とマイナス推移を予想する会社もあった。回復に期待を示す会社があるなか、引き続き厳しい状況が続くと見る会社も多い。中国をはじめアジア諸国からの訪日需要が盛り返すと期待する旅行会社も6社あったが、一方でほとんどの会社が震災や原発事故からの回復を課題としてあげていた。プラス要因としては、LCCの本格参入で中国、韓国の旅行需要が盛り返す可能性を示唆する意見(業務渡航系)もあった。
2012年の各社の注力ポイント、人材育成が1位に
11年、12年は震災からの復興に加え、団塊世代の大量リタイア、「日系LCC」の運航開始、成田発着枠拡大に向けたオープンスカイ、オンライン市場の拡大など、業界環境の変化が想定されている。こうしたなか、12年に力を入れていく分野を複数回答で聞いたところ、1位は「人材確保・育成」となった。新たなビジネスモデルを展開するために「人材の活性化が必要」(総合旅行会社)とのコメントや、複数ある強化部分の中でも「最重要課題」とする会社(リテーラー)もあり、12年も人材の確保、育成は引き続き課題となりそうだ。
2位は「オンライン販売」となり、「インターネット経由の受注が順調に伸びている」(メディア・通信販売系)という理由からさらに注力していく姿勢を見せる会社もあった。また、3位には「仕入れの強化」があがり、組織再編を実施し、商品やデスティネーションごとにオンライン販売と店頭販売、それぞれに適切なものを特化して販売する計画の会社(総合旅行会社)もあった。4位が「インバウンド」と、「リスクマネジメント」の2項目がランクインした。インバウンドについては「本格参入2年目の2012年度は、需要の戻りが少なくても実績は大きく伸ばせる」との理由(業務渡航系)もあった。
そのほか、業務渡航を取り扱う会社からは、オンラインでの直販化や運賃の低廉化、BSBのネット精算移行に伴う収益率低下など環境が変わるなか、ビジネストラベルマネジメント(BTM)に注力する考えを示すコメントもあった。
>>来週に続く