新春トップインタビュー:JTB代表取締役社長 田川博己氏
「2012年、仕掛ければ動く」
中期計画は変更せず構造改革と成長戦略に注力
2011年、ジェイティービー(JTB)グループも東日本大震災で大きな影響を受けた。しかし、海外旅行と国内旅行は予想以上に早い回復を見せたという。JTB代表取締役社長の田川博己氏は、創立100周年の大きな節目を迎える2012年も「仕掛ければ相当いろいろなことが動く」と期待をかける。LCCの参入など事業環境の変化も予期される中でJTBグループの舵をどう取るか、田川氏に聞いた。(聞き手:弊誌編集長 松本裕一)
-2011年、東日本大震災で旅行業界も大きな影響を受けました。振り返られて、JTBグループの業績はどのように推移したかお聞かせください
田川博己氏(以下、敬称略) 2011年度はJTBグループにとって中期計画のスタートの年で、いろいろと仕掛けていく考えだった。出だしの数字はよく、かなり明るい見通しでスタートしたが、直後に震災でつまづいた。今回の震災は、9.11やSARSなどこれまでの出来事を足したよりも大きな影響があると想定していた。
しかし、自粛が解けるのが早く、ハード、ソフト両面で次の一手を打とうという動きも早かったと思う。海外旅行についていえば、8月には過去最高(の出国者数)を記録し、後半は平時に戻った。円高もいい影響をもたらしたと思う。特に長距離方面の旅行商品が好調に推移した。国内旅行については、よく戻ったという印象だ。一方、訪日旅行はやはり原発事故の問題で依然厳しい。
このため、JTBグループ内でもJTBワールドバケーションズの業績はよく、訪日旅行関連は苦しい状況だ。トータルではプラスマイナスでゼロになってしまうが、事業ごとの業績がはっきりしているので、あまり心配はしていない。しっかり対策が打てれば、問題はないと思う。焦ることなく、それぞれの部門で戦略を立て、それに見合った戦術で事業を進めていくことが大切だろう。