現地レポート:西オーストラリアの多様性、パースを起点に

  • 2011年12月15日

西オーストラリア、広大な大地から切り取る各地の表情
シーズンならではの楽しみも

ロットネスト島固有種のワイルドフラワー、ロットネスト・アイランド・デイジーが満開で出迎えてくれる  オーストラリアの面積の3分の1を占める西オーストラリア。広い大地には自然や文化、歴史を感じる多様性が点在している。人がにぎわう街から手付かずの自然が残る大地、奇妙な形の岩が立ち並ぶオレンジ色の荒野など、パースを起点にしてみても豊かな表情を見せてくれる。西オーストラリアは、ワイルドフラワーの季節でもある8月から10月、夏を迎える2、3月といった季節が人気だが、11月は過ごしやすい気候でもあり、引き続きワイルドフラワーを楽しむことができる。このほど広州/パース線に就航した中国南方航空(CZ)の研修旅行に参加し、改めてパースを起点にした11月の西オーストラリアの楽しみ方をレポートする。


フリーマントルの街中には歴史や案内が書かれた表示も。街歩きに便利かわいらしい街並みの港町フリーマントル
半日ツアーだけでなく宿泊もおすすめ

フリーマントルのマーケット。以前より営業時間が長くなり、現在金曜日は8時まで、土日は6時まで営業 パースから車や電車で30分ほどの距離にある港町「フリーマントル」は、ヨーロッパ風の街並みがかわいらしい。週末のみ開催されるマーケットは、1987年につくられ、150以上のショップがそろう。パース市内よりも安く雑貨や食品などを購入できる。最近、お土産として人気なのは西オーストラリア州に生息するユーカリの木の一種、ジャラのはちみつとのこと。

フリーマントル刑務所では、井戸水を街へ送るために掘られたトンネルを見学するツアーや夜の刑務所を楽しむキャンドルナイトなどもおこなわれている  また、オーストラリアにある19の世界遺産のうち、「オーストラリアの囚人遺跡群」の一つとして文化遺産に指定されているのが「フリーマントル刑務所」。ここでは、パースの都市開発を目的としたインフラ整備のため囚人が働いていた。こうしたフリーマントルから始まったパースの都市開発の歴史を知ることができるので、教育旅行で利用されることも多いという。

 なお、フリーマントル刑務所から海辺へ向かうと、以前監獄だった「ラウンドハウス」がある。ラウンドハウスに登ると、フリーマントル市内とチャレンジハーバーを眺めることができる。港町ならではの風景だ。フリーマントルの街歩きは半日でも楽しめるが、ラウンドハウス近辺のシーフードなどを提供するレストラン、地ビール工場、海に沈む夕陽など、1泊しても十分楽しむことが可能だ。


12月も楽しめるワイルドフラワー
ホエール・ウォッチングもできるロットネスト島

フリーマントルからロットネスト島へ向かう途中に出会ったクジラ  パースからフェリーを利用して1時間30分、フリーマントルからは30分の「ロットネスト島」は、子供から大人まで楽しめる人気スポット。ロットネスト島固有のワイルドフラワーや、世界中で愛されるキャラクター、ピカチュウのモデルになったという有袋動物のクォッカ、クジラなど、9月から12月初旬のシーズンは特に植物が豊富で、動物も活発になる時期。島の固有種ロットネスト・アイランド・デイジーは11月から12月初旬にかけて見ることができる。

島へ到着したら早速自転車をレンタル。1日あたり28豪ドルでレンタルでき、1日中楽しめる  出発した朝は曇っており、通り雨も降っていたが、ロットネスト島へ近づくほどに青空が広がってきた。そんな私達を歓迎してか、早速クジラが姿を現してくれた。9月から11月までは、温かい海で出産するためにクジラが南極から北上するので、島の周辺では99.8%の確率で見ることができるという。ロットネスト島へのツアーやフェリー運航などをおこなう「ロットネスト・エクスプレス」では、このシーズンにあわせイルカやアシカ、オットセイを見に行くツアーに、ホエール・ウォッチングを組み合わせて実施している。

風の強い島ではロットネストティーツリーが地面に倒れこむように生えている また、ロットネスト島にいて感じる特徴のひとつは風の強さだ。島内の木、ロットネスト・アイランド・ティーツリーも地面すれすれに横に流れるように育つほど。この風の威力を利用しているのが風力発電で、島内の電力約35%をまかなっている。このほか、海水から淡水へと変える仕組みもあり、こうした環境を配慮した取り組みを学ぼうと、日本からの教育旅行などで島を訪れるケースもある。ロットネスト・エクスプレスでは、2、3年前から日本語ガイドによる説明や案内も実施している。現在、日本人利用者の70%がFITであるものの、教育旅行への対応も可能だ。