現地レポート:西オーストラリアの多様性、パースを起点に
西オーストラリア、広大な大地から切り取る各地の表情
シーズンならではの楽しみも
海辺の街と乾いた大地
広大な西オーストラリア州を感じるパース近郊への
バスツアーも魅力
パースを起点にしたバスツアーも多い。今回は、ピナクルツアーズの「カバシャム・ワイルドライフパーク」や「ピナクルズ」を訪れるバスツアーに参加した。パース市内からカバシャム・ワイルドライフパークまでは車で約30分。カンガルーの餌付けやウォンバットと一緒に写真を撮ることができる。パーク内を歩いていて気づくのは、通路にワイルドフラワーが咲いていたり、動物との距離が近いこと。動物を野生に近い状態で飼育しているのが特徴だ。
カバシャム・ワイルドライフパークから30分程度走ると、想像もしなかったほど広大な土地が広がってくる。ピナクルズへは2時間30分ほどかかるが、その途中、昼食を取るため海辺の街、セルバンテスに立ち寄る。セルバンテスはここまでの景色とは全く違う青と白のコントラストが美しいビーチがあり、ロブスター漁や釣り人が訪れる街として有名だ。
セルバンテスでロブスター漁から販売までおこなう「ロブスター・シャック」では、2010年11月から工場見学も実施しており、ピナクルツアーズもツアーに組み込んでいる。日本語の音声ガイドもあり、日本ではなかなか見ることのできないロブスター漁の行程を知ることができる。
白い砂浜と真っ青な海から車を走らせるとピナクルズへ到着。「荒野の墓標」とも呼ばれるように、オレンジ色の乾いた大地に大小様々な形の岩が頭を出す。このあたりはもともと海があり、長い年月をかけて海水の水位が下がるにつれて堆積していた貝などが石灰岩となり、風によって運ばれた砂などとともに地層を形成。そこに原生林が育ったがそれも風化し、砂も吹き飛ばされた結果、木の根の部分にあった石灰岩が現在の形で姿を表したという。
ピナクルズで、現在私たちが見られるのは堆積した砂から表に出ている部分のみ。つまり、5年後、10年後に訪れればまた新たなピナクルズを見られるかもしれないのだ。岩をよく見ると、昔生えていたという原生林の痕跡も目にすることができる。自然が作り出した西オーストラリア州の大地の歴史を知ることができるだろう。
CZ、乗り継ぎ利便とサービスが向上
11月8日、中国系航空会社として初めてパースへの定期路線が就航した。それが中国南方航空(CZ)の北京/広州/パース線だ。現在、週3便での運航となり、日本からは成田、関空から広州乗り継ぎでパースを訪れることができる。これまで、成田/広州線であればビジネス需要がメインだったが、今回のパース線就航によりレジャー市場を開拓する契機となる。CZ東京支店日本地区営業統括次長東京支店旅客部次長兼務の笹森准美氏は、「ビジネス客には浸透しているが、一般的な認知やサービスについてはこれから」と話しており、旅行商品で利用してもらうことで一般消費者への認知向上をはかる考えだ。
CZは近年国際線を拡充していることもあり、乗り継ぎの利便性向上にも注力している。同日乗り継ぎが可能な往路では、乗り継ぎを案内する看板だけでなくスタッフを設置。また、カウンターに立ち寄る必要はないものの、有人のカウンターも設けている。現在は、入国審査時に乗り継ぎ客であることを示すための用紙を配布し、審査の際にパスポートとあわせてチェックして貰う必要があるが、今後は乗り継ぎ専用の自動チェックイン機の稼働も予定しているため、さらにスムーズになると想定される。
また、同路線で気になるのは復路で広州に1泊宿泊する必要があるということ。ただし、パースを午前9時55分に出発し、広州に到着するのが午後6時20分と考えると、せわしなく帰国するよりも1泊することで長時間のフライトの疲れを取るのもひとつの選択肢だ。また、運賃も成田/広州/パース線であれば、燃油込みの往復運賃が約6万5000円程度。参加した旅行会社の企画担当者は、「パースというと高級志向の人や年齢の高い人の需要が高かったが、今後は安価に楽しめる学生旅行などにも訴求できるのでは」と話しており、パースと広州の組み合わせを楽しめる人や、若い学生などをターゲットにした商品展開について検討したいという声も聞かれた。
なお、パースからの復路では、チェックインする際に荷物をスルーしないことを確認しよう。広州到着後、14日以内の滞在であればビザは不要だが、入国する必要はある。出国審査を終えると、日本語でも書かれた乗り継ぎ案内の表示を確認し、荷物をピックアップして税関に向かう。今回のように国際線から国際線へと乗り継ぐ場合は左側のトランジットインターを抜けて、“E1”出口を出て中国へ入国となる。広州白雲国際空港は非常に広いので、顧客に案内するときは間違いのないようにしたい。
取材:本誌 秦野絵里香