ピックアップ:JAM2011~震災後の回復とオーストラリアの新素材(2)
8月31日から3日間、開催されたJAM(Japan-Australia Mission)には、31社・団体のセラーが参加し、約140名の日本の旅行会社担当者と商談を進めた。前回は各州政府観光局に取材した、市場動向、特に震災後の状況と最新情報を掲載したが、今回は航空3社とレンタカー、およびノーザンテリトリー州のツアーオペレーター、宿泊施設の状況と最新情報を掲載する。
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▽カンタス航空(QF)
震災後の需要の回復は順調で、FIT 、グループ、法人の各需要はほぼ例年並みに戻ってきた。今後も各方面と協力しながらシドニー線のプロモーションを強化すると同時に、JQや同じワンワールド・メンバーである日本航空(JL)とのコードシェアを活かしながら、日本とオーストラリアの旅客数増加に取り組んでいく考えだ。
また、日本サイドの足場をしっかり固めた上で、日本線の増便も検討してく。羽田路線については、今後の日豪の航空交渉を見極めながらの対応になるが(※)、チャンスがあれば就航も考えていく方針だ。プロダクトではプレミアム・エコノミーの商品化を働きかけていく。このほか、旅行会社との協力による新しいデスティネーションの開発にも意欲を示す。
※JAM開催後、9月末に行なわれた日豪の航空交渉では、羽田空港について深夜早朝枠時間帯で日豪間路線の開設を可能にする枠組みを構築することで合意した(関連記事参照)
▽ジェットスター航空(JQ)
震災後のマーケット動向について、直後はキャンセルが多かったものの、徐々に需要の回復は進み、特に夏に向けては間際予約が増えたという。一方で訪日需要はまだ回復基調には至らず、苦戦が続いているようだ。
JQでは今年の5月に運賃体系を見直した。受託手荷物の選択肢を拡大し、追加できるオプションも拡充。ビジネスクラスも特典を省いた低価格運賃を設定した。さらに、食事なし、荷物なしでもホールセラーが扱えるようになり、売り方を多様化させた。冬季スケジュールでは、成田/ケアンズ、成田/ゴールドコースト、関空/ゴールドコースト(10月30日~12月21日)の各路線でデイリー運航。関空/ケアンズ線では週4便を運航する。
▽シンガポール航空
日本からシンガポール経由でオーストラリアに渡航する旅客は、震災に関係なく、昨年よりも増加している。最大のメリットは日本/シンガポール路線での便数の多さ。東京では成田だけでなく羽田からも運航。大阪、名古屋、福岡からもシンガポール経由でオーストラリアへ飛ぶことができる。羽田の深夜早朝便を含めて接続がスムーズな点も大きい。
特に現在、日本発着の直行便が運休中のパースへの渡航では利用価値が高いため、西オーストラリア州政府観光局と共同でセミナーを開くなど、同州へのアクセスのよさをアピールしている。また、同じく日本からの直行便がないメルボルンやアデレードなどへのアクセスも利便性が高い。