現地レポート:RCI、レジェンドの福岡発着アジア、日本沿岸クルーズ
1泊9000円以下から楽しめる、レジェンド・オブ・ザ・シーズ
福岡発着・済州島・ウラジオストク・日本海沿岸クルーズ
「高い」「揺れる」「堅苦しい」と思われがちのクルーズ。しかし実際にはこんなにお気楽な旅はない。しかも1泊9000円以下で楽しめるとしたら――。クルーズ本来の魅力であるコスト・パフォーマンスに秀でた「レジェンド・オブ・ザ・シーズ」の日本発着クルーズこそ、新しい時代の旅行商品となるかもしれない。同客船による9月14日発「福岡発着・済州島・ウラジオストク・日本海沿岸クルーズ10泊11日」をレポートする。
コスト・パフォーマンスに優れたクルーズ
ロイヤル・カリビアン・インターナショナル(RCI)は4年前から、年間を通じてアジアにクルーズ客船を配船しはじめた。アジアの観光地を寄港地として欧米の乗客を送り込むのではなく、経済的な成長が続くアジア・マーケットをターゲットとし、アジア各国で集客をするためだ。日本でも昨年5月、レジェンド・オブ・ザ・シーズ(レジェンド)による2本の横浜発着クルーズを実施し、合わせて3200人もの日本人乗客を集めて大成功に終わった。この功績により、クルーズ市場の拡大に寄与した旅行商品を表彰する「クルーズ・オブ・ザ・イヤー」の2010年度グランプリを受賞したほどだ。しかし、今年5月の横浜発着クルーズは、残念なことに東日本大震災のために中止となった。
日本国内で乗り降りできるクルーズの有無は集客、そして今後の知名度に大きな差がでる。それがスタンダード・クラスのクルーズなら、なおのことだ。そこでRCIと日本での総代理店であるミキ・ツーリストは、レジェンドの上海発着クルーズが博多港に寄港するのに着目し、日本マーケット向けに2本の上海発着クルーズをつなぎ合わせ、日本人客を博多港で途中乗船、途中下船することで今回の「福岡発着・済州島・ウラジオストク・日本海沿岸クルーズ10泊11日」クルーズを仕立てたのだ。
驚くことに、クルーズ料金は8万9800円(スタンダード内側)からという破格の安さ。つまり港から港への移動、宿泊、夜食やルームサービスを含んだ食事、エンターテイメントなど、すべてをひっくるめて、1泊あたり9000円以下なのだ。高級イメージがつきまとうクルーズだが、実はコスト・パフォーマンスの良さこそクルーズ本来の魅力。しかも今クルーズには日本人コーディネーターが乗船するため、初心者も安心して乗船できる。文字どおりクルーズ入門にはもってこいだ。
なお、RCIのクルーズは通常、客室の予約状況に応じて料金が動くドル建て・変動制を導入しているが、日本発着クルーズのみ、旅行会社の事務処理の簡素化や顧客にとっての料金のわかりやすさなどの理由で円建て・固定制となっている。
アジアのテイストも含む料理に舌鼓
就航から16年が経つレジェンド。最新のクルーズ客船と比較するとバルコニー付きの客室が少ない、全客室に冷蔵庫がないなどコンセプト面での古さを感じる部分はあるが、とくに不便を感じる部分はない。パブリックスペースにおいても、その感想は同じだ。
一方、サービス面はどうかというと、アジアクルーズではフィリピン人に加え、中国人がサービスクルーとして多数起用されている。彼らのサービス・レベルは、多くが国際的なホテルなどで働いていた経験を持ち、またRCIによって船上で働くための教育を受けているため、まったく問題がない。ただし常に明るいフィリピン人に比べると、寡黙な印象を受ける。
感心したのは、食事の美味しさ。メインダイニングで出されるコース料理は西欧料理が基本だが、チョイスの中にトンカツや酢豚といったアジア料理をはじめ、パスタや焼きそばなどの麺料理も用意されていた。またビュッフェ形式のカジュアルレストラン「ウインジャマー・カフェ」では白飯やお粥、炒飯、饅頭など多数の中華料理をはじめタイやインドネシアなどのアジアンフードも取り入れられており、その味わいもなかなかのもの。西欧料理が苦手な人でも、安心して乗船できるだろう。食事はクルーズ料金の高低によって、もっとも差が現れるところ。正直なところ期待していなかっただけに、うれしい驚きとなった。