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現地レポート:RCI、レジェンドの福岡発着アジア、日本沿岸クルーズ

  • 2011年10月13日

1泊9000円以下から楽しめる、レジェンド・オブ・ザ・シーズ
福岡発着・済州島・ウラジオストク・日本海沿岸クルーズ

本場のスタイルだからこその留意点

ロビーの役割を果たす「セントラム」。各種イベントも催される  今クルーズは当初、福岡を出港した後、鹿児島/上海/済州島/ウラジオストク/小樽に寄港、そして福岡に戻るコースとなっていた。しかし台風15号と16号の影響を受け、このスケジュールが大幅に変更された。鹿児島が長崎に変更となり、済州島と小樽は抜港、その代わりに釜山が加わり、福岡には1日早く帰港してオーバーステイすることに。終日航海日も1日伸びて計4日になるという大幅な変更だ。しかし、この変更のおかげでレジェンドは暴風雨に見舞われることもなく、船の揺れも最小限に抑えられたのだから、この判断は正しかったといえるだろう。

室内プールとジャグジー、バーを備える大人だけの空間「ソラリウム」  船内で日本人乗客の何人かに感想を聞くと、「次は地中海で乗りたい」「同じ会社が運航する世界一大きな客船に乗ってみたい」「台風が心配だったが、さほど揺れずに安心した」と語るクルーズ初心者が多数いた。また、クルーズ経験者からは「日本発着だとクルーズを気楽に楽しめる。どんどん本数を増やしてほしい」という声も聞かれた。レジェンドのクルーズはコスト・パフォーマンスに優れ、非常に満足度の高いものだったといえるだろう。

夜のデッキ。照明の効果がロマンチックな雰囲気を盛り上げる  しかし、販売面で気をつけるべき点、留意しておくべき点も少なからずある。例えばRCIは欧米スタイルのクルーズを、そのままアジアでも実施している。日本発着といえども、船内の公用語は英語であり、通貨は米ドルだ。そのため、英語がまったく話せない人はストレスを感じてしまうだろう。日本人コーディネーターが乗船しているとはいえ、一人ひとりの顧客の通訳をすることは事実上不可能なので、パッケージツアーなら添乗員も同行した方が良い。

 また、今回は寄港地でのオプショナル・ツアーの内容が、決して良いとはいえなかった。そのため寄港地でのツアーを含めたクルーズ商品を企画すると、他社との差別化にもつながるために良いと思われる。


インターナショナルだからこその課題

シアトルズ・ベストのコーヒーとベン&ジェリーズのアイスクリームが楽しめる「ラテチュード」  最後にもうひとつ。他国の乗客との混乗について。今クルーズはほぼ満船状態で、そのうち日本人乗客は福岡から乗り込んだ約250人。他はほとんどが中国本土からの乗客だったのだが、我彼のマナーに対する違いで少なからず不快に感じた日本人乗客がいた。例えば中国人乗客の中にはフォーマルナイトでもTシャツに短パン、サンダルという姿でメインダイニングに現れる、列には並ばない、シアターで上演中でも大声を上げるなど、正直眉をひそめるようなことが多々あった。

クライミング用ウォール。女性でも楽しく登頂可能だ  しかし、上海からはじまった新しいクルーズには日本人乗客約80人をはじめ、香港やシンガポールの華僑、そして欧米系の乗客が多数乗船してきた。もちろん中国本土の乗客が多数を占めている状況に変わりはないが、不思議なことにマナーも大きく改善され、同時に船内が国際的な雰囲気になり、「これぞクルーズ」と思える良い状況になったのだ。クルーズの雰囲気を決めるのは乗客だということを、これほど実感させられたことはない。

メインショーは言葉を必要とせずに楽しめる  逆に横浜発着クルーズでは乗客のほぼ全員が日本人となるため、文化やマナーの差による問題は起こらないが、国際的なふれあいもなくなる。販売に当たっては、こうした点についての告知も必要かもしれない。

 レジェンドは2012年に、横浜クルーズをチャーターや片道クルーズを含めて計9本実施すると発表した。また、14万トン級の「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」も福岡、長崎、神戸などに寄港する日本寄港クルーズを運航する予定だ。クルーズ自体の知名度向上に、ひと役もふた役も買ってもらいたい。また、港湾局やCIQなどもできる限りの協力を払ってほしいと切に願う。

 

取材:竹井智