スカンジナビア、宿泊数増めざし新コース、11年は前年並みを予想

  • 2011年10月10日

STB日本支局長の宮本拓氏  スカンジナビア政府観光局(STB)は10月7日、セミナーとワークショップを開催した。STB日本支局長の宮本拓氏は、「スカンジナビアの人気は高いが、日本人宿泊数は低い」と課題を述べ、宿泊数の増加をはかるため新たなモデルコースを提案した。旅行業界にアピールし、多様な商品の造成をはたらきかけることで、宿泊数の増加とリピーターへの選択肢の拡充をめざす考えだ。

  宮本氏によると、ジェイティービー(JTB)による2011年のレポートの「行きたいデスティネーション」で、スカンジナビアは15位となり、日本交通公社(JTBF)の調査でも、「3年以内に希望する旅行先」で17位となったことから、潜在需要の高さが伺えるという。一方、STBが実施中の、大手旅行会社各社への2010年度のパッケージツアーに関する調査では、平均宿泊数はデンマークが0.9泊、ノルウェーが2.9泊となり、STBの予想を下回る数字となった。

ワークショップの様子  こうした中、宮本氏は「人気があるのに宿泊数が伸びないのは、滞在期間が短くなっているのでは」と推察。宿泊数の増加をはかるため、7つのモデルコースを設定。パッケージツアー向け周遊コースに加え、FIT向けに公共交通機関を活用した、フィヨルドとデンマークをめぐるコースも用意した。10月中にも同観光局の旅行業界向けウェブサイトに掲載する予定だ。また、今後は20人規模の小規模セミナーを毎月開催し、テーマごとに旅行会社に情報を提供していく計画だ。

 STBによると、各国の日本人宿泊数は、ノルウェーは1月から8月の累計で前年比1.9%減の7万8250泊、スウェーデンは1月から7月の累計で5.3%減の4万8378泊と減少したが、デンマークはビジネス渡航の回復もあり、1月から7月の累計で3.6%増の4万9976泊と増加。2011年は前年並みで落ち着く予想だ。また、訪問者の傾向でみると、女性を中心とした20歳から35歳による数都市周遊と、50代以上のアクティブシニアによるクルーズを活用した周遊が多い。宮本氏は「フォーカスして造成すると、作った商品が効率よく受け取られるのでは」と参加者に提案した。

 なお、STBは現在ノルウェー、スウェーデン、デンマークの3ヶ国のプロモーションを展開しているが、2011年12月31日をもってスウェーデンが撤退し、2012年1月1日からはノルウェーとデンマークの2ヶ国を取り扱うこととなる。