震災後の訪日旅行市場、来訪者や予約動向から探る-JNTO講演会
さらなる回復に向けて「協力」がキーワード
当面の目標は震災前の水準
少しずつではあるが、徐々に回復が見られるインバウンド市場。今後、本格回復に向け、加藤氏は「中央と地方が歩調を合わせることが大前提」とし、官民一体で取り組んでいく必要性を強調した。また、リー氏も「回復は1社だけの努力ではなし得ない。日本のイメージを回復させ、訪日旅行客を取り戻すには日本全体として協力が必要」と訴える。官民、企業同士の「協力」が回復に向けてのキーワードとなっているようだ。
JNTOの神保氏は今後の目標について、「最も大事なことは外国の方になるべく早く日本にたくさん戻って来てもらえるようにしていくこと」とし、「プロモーションを強化し、マーケットに働きかけて、訪日外国人の需要回復をはかっていきたい」と語った。市場回復に向けて、具体的な数値目標は掲げられなかったものの、業界全体で以前の水準に回復させる一体的な努力をしていくことが求められている。
個別相談会、回復に向けた具体的な相談多く
来年も東京以外での開催も予定
JNTOが先ごろ開催した個別相談会には、東京会場で126団体286名、大阪会場で29団体54名が参加した。個別相談会は賛助団体や会員企業への満足度向上と高いサービス提供の一環として実施するもの。各海外事務所長が最新情報の提供とインバウンド関連の相談に応じ、インバウンド拡大に向けた意見交換の場としている。10年前から年に2回、開催しており、大阪での開催は今回が初めて。全国規模でインバウンド誘致が広がるなか、フェイス・トゥ・フェイスでの相談を希望する賛助団体や会員企業が多いことから、JNTOでは来年も東京以外の都市での開催に取り組んでいく意向だ。
今回は、大阪ではソウル、北京、台湾、バンコクなどアジア7海外事務所のデスクを設置。東京では上記のほか、パリやシドニー、ニューヨークなどを含めた15海外事務所とコンベンション誘致部、外国人受入れ相談デスクを設置した。震災後の開催ということもあり、その後の各市場の動きや回復状況に関する相談が多かった。また、回復への効果的なプロモーションについて具体的なアドバイスも求められたという。今後は相談内容に応じて、JNTOの本部や海外事務所でもフォローをしていく予定だ。