8月の出国者数は179万人と過去最高水準、訪日外客は減少幅が震災後最小に

  • 2011年9月15日

 日本政府観光局(JNTO)によると、2011年8月の日本人出国者数の推計値は、前年比9.1%増の179万2000人となり、これまで単月で過去最高を記録していた2001年8月の179万1166人と並び、過去最高水準となった。また、震災後、前年比が4.5%増と初めてプラスに転じた7月よりも伸びており、7月末に1米ドル76円台であった円が8月19日に1米ドル75.95円となるなど円高の更新が海外旅行需要を後押ししたと見ている。

 一方、訪日外客数の8月の推計値は、31.9%減の54万6800人。震災発生後、4月を底に減少幅が徐々に縮小してきており、8月は減少幅が最小となった。ただし、これまで8月単月で過去最高を記録していた2010年と比べると約25万5900人少なかった。JNTOでは、原発事故による放射能汚染に対する懸念が継続していると指摘。7月には日本国内の一部の牛肉から放射能物質が検出されており、食に対する不安が払拭しきれていないという。円高も影響しており、米ドルだけに留まらず、ユーロ、香港ドル、豪ドル、カナダドルなどに対しても円高が強まり日本への旅行需要に歯止めをかけるひとつの要因となった。一方で、北海道や関西、九州、沖縄への訪日旅行需要は回復傾向にあるという。

 国、地域別では、フランスが44.6%減と最も減少幅が大きく、次いでドイツが41.8%減、ロシアが40.6%減、韓国が40.5%減、中国は40.1%減となった。また、ビジットジャパン重点市場の中で、マレーシアだけが震災後初めて前年を上回り、4.1%増の5200人となった。