インバウンド、魅力開発と情報発信でリピーター獲得が鍵-じゃらんセミナー

  • 2011年8月31日

 訪日旅行市場において、東日本大震災後の回復はどこまで見込めるか、関心は高い。国内の市場が縮小していくなか、インバウンドは今後の柱のひとつとして育てていくべき重要なテーマだ。リクルートのじゃらんリサーチセンター(JRC)が観光に関わる行政や観光協会などを対象に開催した「観光振興セミナー2011」でも、インバウンドをテーマにした調査内容が発表された。訪日外客年間3000万人達成へ向けて、受け地はどのような態勢をとるべきか。訪日旅行市場の約7割を占める東アジア4市場(韓国・中国・台湾・香港)に着目したJRCの研究「訪問地満足度ランキング調査」からヒントを探る。


じゃらん訪問地満足度ランキング調査(韓国、台湾、中国)

調査時期:2011年5月25日~6月9日
調査方法:インターネット
調査対象:過去3年間に宿泊を伴う訪日旅行を経験した20歳から59歳の男女3000名(韓国、台湾、中国各1000名)。
回答者プロフィール:
パッケージ旅行率-韓国約3割、台湾約5割、中国約6割強
 初回訪問者比率-韓国約5割、台湾約6割
訪日時期-5月、7月~8月、10月が多い。中国は国慶節のある10月が突出



ポイントは東アジアのFIT旅行者

JRC研究員の横山幸代氏  JRC研究員の横山幸代氏によると、訪日旅行者数は、2009年のリーマンショックなど停滞した時期もあるが、長期的に見ると2010年までは比較的順調に推移してきた。震災後は4月に前年比で約6割減となったが、6月末時点で約4割減まで回復している。

 市場の内訳をみると、東アジア4市場が全体の約7割を占める。訪問地を地域ごとにみると、全体的には成田から静岡を経て関西へと抜けるゴールデンルートに圧倒的に集中しているが、北海道と九州は東アジアの旅行者比率が高い。また、東アジア4市場のうち中国以外の3ヶ国はFIT比率、リピート率がいずれも高い。

 横山氏によると、観光地がインバウンドの拡大をはかる場合、まず中国に目を向けるケースが多い。しかし、「ツアーに組み込まれるゴールデンルート以外のエリアが訪日客を獲得する場合、FITがメインの市場となる」と話す。中国は団体旅行が多く、FITに限ると7月1日から発給開始となった沖縄での数次ビザが1000件を突破していることから将来的な伸びしろは大きいものの、現在の規模は香港と同レベルだ。そのため、「中国をはじめ、韓国や台湾のFITをどう楽しませてリピーターとして定着させるかが課題」になるというのだ。