観光庁、休暇促進はかり「ポジティブ・オフ」活動実施-休暇分散化は「休眠」
観光庁は節電対策で休暇の分散化や長期化の流れが生まれるなか、「ポジティブ・オフ」運動を展開する。これは休暇を取得し、外出や旅行を積極的に促進し、休暇(オフ)を前向き(ポジティブ)にとらえて楽しもう、という運動だ。外出や旅行の促進で家庭の節電をはかるとともに、東日本大震災や原発事故による風評被害で大きなダメージを受けた観光を活発にすることで、地域経済の活性化をはかる。
観光庁長官の溝畑宏氏は、7月15日に開かれた定例会見で「これを機に、ライフスタイルそのものを中長期的に変えていきたい」とし、運動を長期的に展開していきたい考えを示した。将来的には休暇を楽しむライフスタイルやワーク・ライフ・バランスの実現につなげていきたい考えだ。観光庁が主体となり、内閣府、厚生労働省、経済産業省と共同で提唱し、賛同する企業や団体とともに推進していく。
同運動は、運動推進パートナー規約にのっとり参加の申請をすれば、原則として中小大手の規模に関わらずどんな企業、団体でも参加できる。運動に賛同する企業や団体は、社内メールなどを活用した従業員への外出や旅行の啓発、または福利厚生としての費用負担などで従業員の外出や旅行をサポートする、といった活動を実施する。活動は既存の休業・休暇制度内でも可能だが、制度を変更し、新たな休暇や休業を設定して実施してもよい。さらに、活動に合わせ自社商品やサービスのアピールをすることも可能とした。
観光庁によると、7月15日現在で51の企業や団体が賛同しており、旅行業界からも近畿日本ツーリスト(KNT)やJTB法人東京、日本旅行、日本航空(JL)、全日空(NH)などが参加。参加企業やその企業が実施したモデルケースをウェブサイトや新聞広告で発信していくという。例えばKNTはNTTデータと協力し、NTTデータの社員がポジティブ・オフ活動で旅行をする際、特別商品を提供するなどの取り組みも進めているという。
溝畑氏は、こうした活動を休暇分散対策の一環として有効活用していきたいとした。休暇の分散化に対する取り組みについては、震災前は今秋から先行して休暇の分散を実施する予定だったが、震災で休暇分散の前提となる流通や社会経済が停滞した影響などで中断。溝畑氏は「正常な状態に戻るまでは休眠させ、今後の社会経済の動向を見据え、タイミングをみて検討を再開していきたい」と述べた。ただし、「家族の時間作り」プロジェクトなどの実証実験は引き続き継続していく。