現地レポート:グアム、MICEに変化の兆し-新素材、大型施設も開業へ
グアムMICE、新施設のオープン控え、新たな可能性
大型団体誘致、学会や展示会開催に向けて準備
グアム政府観光局(GVB)は7月1日から7月4日、「ハファデイ・グアム・スタディ・ツアー2011」を開催した。今回のツアーはMICEがテーマ。ひとつのテーマでスタディ・ツアーを実施するのは今回が初めてで、それだけにMICEに対する期待がうかがえる。グアムのMICEはインセンティブや小グループというイメージがあるが、GVBでは今後は大型団体や学会・展示会の誘致も力を入れていくという。それを可能とするのが、今後オープンを予定する大型コンベンション施設だ。スタディ・ツアーに参加し、グアムの最新MICE事情を探った。
グアムMICEの現状と今後の方向性
グアムのMICEはインセンティブが多くを占めている。これは全国9都市から渡航できる特徴を活かし、創立記念パーティや成績優秀営業担当者の表彰式など、全国から参加する報奨旅行型の需要に適しているからである。
GVBの調査によると、団体人数の割合は49名以下が42%、99名以下が30%と、100名未満の団体が全体の7割以上を占めている。宿泊数は全体の7割が3泊4日、次いで4泊5日の滞在が多い。またスポーツ団体の合宿も多く、プロ野球やJリーグのチームが毎年オフシーズンには合宿に来ている。
GVB日本代表の光森裕二氏は「現在は1000人規模の受け入れ施設がない。問い合わせはあるが、グアム大学を使うことになる」と、大型の団体客への対応ができないことを現状の課題とする。しかし、2013年春には、2000人以上の収容が可能な大型コンベンションセンターがオープンする予定。光森氏も「今までグアムのMICEになかったC(学会・大型会議)やE(展示会)の開催ができる。また1000人規模のインセンティブも可能だ」と大型団体への受け入れに期待を寄せる。また、グアムは韓国や香港、台湾などからも4時間ほどのフライト時間で行けるので、周辺国を含めた大型会議の誘致も可能だ。
グアムのMICEを変えるコンベンションセンター
コンベンションセンターはメイン会場が2000平方メートルあり、着席でも最大2000人の収容が可能。タモン地区のサンドキャッスルの裏手側に立地し、アクセスも良い。2013年春のオープンに向けて建設が進められており、現在は6割程度が完成している。コンベンション施設に加え、30階建ての5ツ星ホテルも併設。さらに、同施設を中心にアウトリガー・グアム・リゾートとハイアット・リージェンシー・グアムを通路でつなげる計画だ。これにより、新ホテルの400室とアウトリガー600室、ハイアット500室を合わせた最大1500室を有する一大コンベンション施設になる。海に面しているのも特徴で、その規模と立地面からも、完成すればタモン地区の新しいランドマークになりそうだ。
小規模な会議やウェディングから、大規模な展示会にも対応できるようにしており、例えば大型のリフトで車やバイクがメイン会場まで搬入できる仕組みになっている。1000台の車と20台のバスを収容できる大型駐車場を完備し、駐車場からメイン会場まで直接行けるように通路やエスカレーターが設置される予定だ。
レストランはロビーに3つ設置する予定で、現在日本やシンガポールの飲食店企業と交渉中だ。新ホテルの400室のうち4室はプレジデンシャルスイートとし、専用プールを用意したほか、車が直接部屋の外まで入れられる構造になっており、ウェディングにも利用できるという。危機管理への対応として3日間分の水や食料を備蓄。発電機も完備しており停電時の備えも整えている。
ただし、ハードは順調に建設が進んでいるが、コンベンションセンターに併設される新ホテルの運営企業が決まっていない。また、2000人規模の大型団体のMICEは1年以上前から誘致を開始しなければならないが、営業担当者や予約を受ける体制ができていないという。開業に向けた、早期の体制整備を期待したい。