大歩危祖谷いってみる会、記念フォーラム開き10周年祝う

 徳島県西部にある旅館ホテル5社で組織する大歩危祖谷いってみる会(植田佳宏会長)は、今年創立10周年を迎えることから10月15日、三好市池田総合体育館で10周年記念フォーラムを開き、関係者300人が参加した。

 同会では毎年フォーラムを開いているが、今回は観光庁から認可を受けている「にし阿波観光圏事業」の一環として行った。

 植田会長は「当会ができて10年を迎えたが、この間の変化には著しいものがある。インターネット予約の普及、団体から個人への旅行形態の変化、インバウンド、観光立国など枚挙に暇がない」と10年前を振り返ってあいさつし「本日はこれからの10年を探りたい」と話した。

 にし阿波観光圏協議会の俵徹太郎会長(三好市長)は「少しでも長く滞在していただける地域づくりを推進しているなかで、大歩危祖谷いってみる会の10周年は意義深い」と語った。

 記念講演は観光庁観光地域振興部の田端浩部長が「観光庁の取り組みとこれから10年先の日本の観光地域」をテーマに話し、国が進める観光振興や、観光による地域活性化の必要性を訴えた。

 続いて行われたパネルディスカッションは「激論 リーダーが語る10年後の観光地づくり−また訪れたくなる地域を徹底検証!」を主題に、徳島県の飯泉嘉門知事、関西国際大学客員教授の井門隆夫さん、兵庫県有馬温泉・御所坊主人の金井啓修さん、三重県鳥羽・旅館海月若女将の江崎貴久さんがパネラーとして登壇。

 飯泉知事は「医療観光とともに韓国からの修学旅行などを受け入れる態勢づくりが必要だ」と外国人観光客誘致への取り組みの重要性を訴えた。

 井門さんは「またその地を訪れたいかどうかは、その地に会いたい人がいるかどうか。旅館、地域を含めてファンづくりに努力してほしい」、金井さんは「15年前、阪神淡路大震災で大きな被害を被ったとき、これまで受けたことのなかった日帰り客を取り、その後のビジネスモデルになった。これからはまちづくりを中心にした温泉地づくりを進める必要があり、最近そのための協議会ができた」と報告。江崎さんは「鳥羽は目の前が海でありながら、海や自然とふれあう場所がなかった。そのため、場所づくりを行ってきたが、これからは今まで以上に地域の人たちの理解を得て、地域あげての取り組みとしたい」と話した。

 西祖谷村のホテル秘境の湯に場所を移して行われた10周年記念レセプションは、ご当地出身の妖怪・子泣き爺に扮した大歩危祖谷いってみる会の大平克之副会長のコミカルな進行で進められ、和気あいあいとした雰囲気で10周年を祝した。


情報提供:トラベルニュース社