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今月の神社(第1弾):熊野那智大社−滝がご神体の神社で癒されよう

  • 2010年7月24日

 新連載「今月の神社」を担当する記者の栗本です。私は自他共に認める神社好きで、お守りから歴史上の有名人物に絡んだ神社まで、幅広い神社の魅力を多くの方に知ってもらおうと、日々活動しています。そんな私に編集長が命じたのが、トラベルビジョン初の神社特集!当初は冗談半分だったのだと思いますが、神社ファンを増やすまたとないチャンス!と企画し、実現にこぎつけました。これから半年間、月に1回、全国各地の神社に関する事柄を色々と紹介していきます。業務からはなれた土曜日にゆったりと、日本の神々に触れるアームチェア・トラベルを楽しんでください。第1弾は、和歌山県にある、熊野那智大社内の飛瀧神社(ひろうじんじゃ)を紹介します。


オススメスポット:熊野那智大社の別宮、飛瀧神社
御祭神:大己貴命(おおなむちのみこと、大国主命)
御利益:延命長寿など



拝殿と本殿のない自然崇拝の神社

 熊野は平安時代から天皇をはじめ、数多くの参拝者が訪れた人気の参拝スポット。2004年に「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録されたので、ご存知の方も多いと思います。なかでも今回紹介する熊野那智大社は、熊野本宮大社、熊野速玉大社とともに熊野三山と称される、熊野の代表的な神社です。

 オススメポイントは、別宮の飛瀧神社。なんと、神様が宿るご神体が、133メートルを垂直に流れ落ちている「那智の大滝」なんです!ですから、神様を拝む「拝殿」と神様がいらっしゃる「本殿」がなく、鳥居のすぐ向こうに滝が見える珍しい神社なのです。飛瀧神社に近づくにつれ、滝が流れ落ちるごうごうという音がお腹に響いてきて、
これぞ古くからの自然崇拝!といった雰囲気が味わえます。

 鳥居の前に立ち、まずはご参拝を。その後、滝を近くで拝観するために左の入り口で参拝料を納め、お滝壺拝所に入りましょう。記念に小さな延命お守りがいただけるうえ、入り口を抜けると「延命長寿のお瀧水」が飲めるスポットもあります。これがまろやかなお味でなかなかの美味。体の中から健康になれそうです。

 あとは神聖で澄み切った空気の中、毎秒1トンという勢いでどうどうと流れ落ちる滝を近くで眺めましょう。滝に近づくと、ご神体の水しぶきが体に降りかかり、深呼吸すると、緑の香りと水気を含んだ空気が体に入ってきます。ご神体に直接触れることができるなんて、なかなかできない体験!ただそこに立っているだけで、心の穢れも体の穢れもしっかり祓われ、疲れた心も体もリフレッシュすることうけあいです。


行く前から風情を楽しむ

 那智の滝に行くまでにはいくつかのルートがありますが、一番のおすすめが熊野古道をたどるルート。大門坂を通り、石畳の参道を神社に向かって歩きます。参道の両脇に立ち並ぶ杉が夏の暑い日差しをさえぎり、鳥や虫達の声を聞きながら森林浴が楽しめます。

 ちなみに、大門坂付近の大門坂茶屋ではお参りが盛んだった平安時代の装束を貸し出しているので、時間がある人はぜひチャレンジを。蒸し暑そうな服装ですが、頭からかぶる笠が日差しをさえぎってくれるので意外と涼しく歩きやすく、平安時代の気分で散策が楽しめます。ただし、周囲から注目の的になるので、観光客からカメラを向けられるのは覚悟の程を。修学旅行生や外国人観光客からは大ウケすること間違いなしです。


折角なので少し足をのばして

 飛瀧神社にお参りした後は、さらに続く坂と階段をのぼって熊野那智大社の本殿やお隣の青岸渡寺へ。境内から眺める滝の全景は最高です。

 ここまできたら、ぜひ熊野三山の残りの2社を巡ってほしいところ。熊野三山を1日で周れる周遊バスも出ていますが、熊野本宮大社に参拝する際は、川を掘って温泉が楽しめる川湯温泉や、日本最古の温泉とされる「つぼ湯」のある湯の峰温泉にのんびり1泊するのがおすすめです。ちなみに湯の峰温泉では、源泉が湧き出している「湯筒」で温泉卵や温泉さつまいもが手作りできます。これが温泉の程よい塩味がきいていて非常においしい!ぜひチャレンジを。