新成長戦略、観光への注力掲げる−20年までに訪日2500万人、休暇分散化も

 政府は6月18日、2020年に向けた「新成長戦略」を閣議決定し、「観光立国・地域活性化戦略」を「グリーン・イノベーション」や「アジア経済」と並んで4つの成長分野に掲げた。バブル崩壊後の約20年間、日本経済が低迷を続けて閉塞状況が続いているとし、その打破のため公共事業中心、あるいは供給サイドに偏った生産性重視の経済政策からの転換を標榜。「強い経済」「強い財政」「強い社会保障」の実現を掲げ、観光は地域活性化の切り札として位置づけた。

 観光立国の目標設定としては、訪日外国人旅行者数を「2020年初めまでに2500万人、将来的には3000万人」に設定。また、その経済波及効果を約10兆円、新規雇用を56万人と見積もった。休暇分散化についても、「ピーク時に依存した需要構造を平準化し、混雑等のために顕在化していない需要を掘り起こす」ため、早ければ2012年の実現をめざす。有給休暇の一層の取得促進もはかる。

 また、戦略分野には「ライフ・イノベーション」も掲げており、医療・介護・健康関連産業を「成長牽引産業」として位置づけ。この中では、海外富裕層を対象とした健診、治療などの医療関連サービスを観光と連携して促進することをうたっている。その上で、「医療滞在ビザ」の設置を明記。外国人医師や看護師による国内診療を可能とすることなどの規制緩和もおこなうとした。こうした取り組みにより、2020年には高度医療と健診に対する評価でアジアトップ水準をめざす。

 航空関連でも、「アジア成長戦略」の中で人の流れを倍増するため、2013年度に羽田の国際線発着枠を9万回とするほか、成田についても2012年度に27万回、2014年度に30万回をめざす。また、「徹底的なオープンスカイの推進」のため、2010年度中に運賃規制やチャータールールなどの緩和を促進。その後、首都圏空港の自由化も段階的に進める。LCCやビジネスジェットの受け入れ態勢の整備も掲げた。