JATA、「反転攻勢」に向け事業計画−需要創出や環境変化の対応進める

  • 2010年6月17日
 日本旅行業協会(JATA)は6月16日に第53回通常総会を開催した。JATA会長の金井耿氏は、旅行需要の創出と業界活性化に向けて「反転攻勢」の姿勢で取り組む方針をあらためて表明した。

 金井氏は、2009年度の事業として、厳しい環境の中で、ビジット・ワールド・キャンペーン(VWC)や「もう一泊もう一度」の推進、訪日外国人受入促進地域フォーラムの開催などを通じた需要喚起策に取り組んだことに言及。また、新型インフルエンザへの対応や国内線のコミッション問題、国際航空運送協会(IATA)代理店の財務要件緩和など業界全体の課題解決に取り組んだことについて「一定の成果を得られたと思う」と評価した。

 また、事業環境が変化する中で、「顧客の旅行意欲を的確にとらえ、品質や価格を含めた旅行内容や流通プロセスの変革、CS向上に結び付ける」ことが、新たなビジネスモデル転換への可能性につながるとの見解を示した。最後に金井氏は、「旅への強い思いは、顕在化するかは別としても常に失われることはない」と訴え、観光庁や地域、会員各社など業界全体で協力する姿勢を見せた。

 2010年度は、海外旅行では、2000万人達成に向け各地域ごとのプロモーションやセミナーを推進し、国内旅行ではもう一泊もう一度キャンペーンを継続。外国人旅行では、中国個人観光ビザ要件緩和にあわせ観光庁とともに環境整備を進めるほか、リスクマネジメントや公益法人制度改革の実現に向けて取り組む。


▽10年度は旅行需要拡大、ビジネス環境整備、人材力強化で「反転攻勢」へ

 2010年度は、事業計画骨子として(1)旅行需要の拡大、(2)ビジネス環境の整備、(3)業界人材力のレベルアップの3本柱を掲げ、「反転攻勢」をはかる。1本目の柱、旅行需要の拡大では、チャーターコーディネーター設置やVWC推進、もう一泊もう一度キャンペーン展開、訪日外国人受入促進地域フォーラム開催を通じて需要を喚起する。また、JATA世界旅行博では、業界日に出展者とJATA正会員との情報交換や商談の場を設けるマーケットプレイスを実施する。

 2本目の柱、ビジネス環境の整備では、サプライヤーや顧客との取引関係においてギャップが生じていることから、約款合同検討委員会で様々な題材について検討する。このほか、インバウンド取扱業者の適正化や外国人・訪日旅行の基盤整備に向けて観光庁とともに取り組む。

 3本目の柱となる業界人材力のレベルアップでは、デスティネーション・スペシャリスト(D/S)講座の拡充と、クラウドコンピューティングやグーグルの活用といったニーズのあるテーマについてのセミナー開催を進める。