フィンランド航空、アジア戦略が順調−旅客増加で空港拡張、利便性も向上

  • 2009年12月11日
(ヘルシンキ発 本誌 松本裕一) フィンランド航空(AY)・コマーシャル・ディビジョン・ネットワーク経営戦略管理担当副社長のペトリ・コステルマー氏によると、同社が進めるアジア戦略が順調に推移している。AYのアジア戦略は、ヘルシンキの地理的優位性を活用し、アジア/欧州間の需要を獲得しようとするもの。2009年は全体的には厳しい環境であったものの、全路線での旅客と貨物を合計した収益のうちアジア路線が占める割合は、2008年は約40%であったところが現在は50%にまで拡大。日本路線でも、特に増便した成田は2009年1月から9月までの累計で旅客数が前年比25%増となり、座席供給量を拡大したにも関わらず80%以上のロードファクターを実現している。

 今後も引き続きアジア戦略を推し進める方針で、12月11日には今後の成長を見込んだヘルシンキ・ヴァンター空港のターミナル拡張が終了し、空港の利用可能人数が年間1200万人から1600万人に拡大した。これに合わせてラウンジとスパを新設しており、乗り継ぎ客の利便性を向上。ラウンジとスパは、ビジネスクラス利用者やフィンエアー・プラスの旅客に無料で提供するだけでなく、それ以外の旅客も有料で利用できるようにする。また、バゲージ・ハンドリングのスピードが向上することで、ターミナルが拡大しても35分のMCTが維持可能という。

 今後の路線展開についてコステルマー氏は、「都市名は明かせないが、中国、東南アジア、インドの5都市で新路線を検討している」と説明。5都市のうち最初の路線は、新機材を受納する2011年の早い段階での実現をめざす。また、欧州域内の路線は、他社と連携して効率的に路線展開する考え。すでにパイロットの労働組合と、欧州内国際線の最大20%(座席供給量ベース)を他社便にアウトソースできるようにすることで合意。アウトソースは、新路線とAY既存路線の振り替え両方の可能性があるといい、現在複数の航空会社と協議を進めているところ。「2010年夏には具体化できる」見通しだ。

 なお、日本路線では、すでに発表済みの成田と中部の増便以外では決定した拡大案はないものの、「羽田の国際化が進んでいることはありがたい」と言及。ただし、「深夜早朝枠に限定されると、欧州系キャリアには厳しい」と語った。また、将来的にはヘルシンキ経由でのアジア/北米東海岸の需要にも取り組む方針で、2010年夏に就航するヘルシンキ/トロント線が日本路線と1時間30分で接続可能なことから、「日本/ヘルシンキ/北米東海岸の可能性を探りたい」と語った。


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