Marriott Bonvoy

シンガポール政観、2010年はプラス成長へ−ブランディングなど課題も

  • 2009年11月27日
 シンガポール政府観光局(STB)は11月25日、中小規模のホールセラーを中心に旅行会社を招いて意見交換会を開催した。新しい観光素材やテーマの可能性、ツアーの企画造成や販売における問題点を探ることが目的。会場での本紙取材に対してSTB北アジア局長のポール・タン氏は、セントーサ島とマリーナ・ベイの総合リゾートのオープンに加え、「2010年は日本航空(JL)の関空線が運休になるものの、シンガポール航空(SQ)が羽田線にダブルデイリーで就航する」ことから、「(プラス成長できると)強く期待している」と語った。

 一方、意見交換会では、ランド費用の高騰で儲けが少なくなり旅行会社の意欲が減退する構造的な問題のほか、観光素材が他国と比較して不足していること、物価が高いこと、受入体制の課題などを指摘する厳しい意見が交わされた。特に、キャッチコピーによるイメージ付けや、シンガポールにしかない「オンリーワン」を打ち出す必要性など、ブランディングを求める声が多く、来日したSTBアシスタント・チーフ・エグゼクティブのエドモンド・チュア氏は「本当のシンガポールを伝えられていない」ことが課題とし、その他の意見も含めて解決に取り組みたい考えを語った。

 このほか、STBからはプラナカン、中国、インド、マレーの文化が混在する点を新たな切り口として提案。すでにツアー造成に取り組んでいる旅行計画では、「これまで典型的なツアーを実施してきていたが、人数も集まらなかった」ものの、「これまでにないシンガポール旅行」を目的にプラナカン文化をテーマにしたツアーで参加者を募集したところ、150件の問い合わせが入り、約20件の成約に結びついている。このツアーでは、プラナカン文化のうち、特に日本人が興味を持ちやすい食事をテーマとし、食事の場所にもこだわったという。また、ニッコウトラベルでも、ラッフルズ・ホテルで80名規模のディナーパーティーを開催するなど、紋切り型のツアーとの差別化をはかっているという。