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取材ノート:オーストラリア挙式&新婚旅行、販売スタッフがポイントを討論

  • 2009年11月18日
 ウエディングやハネムーンはお客様にとって特別な旅。雄大な自然や美しいビーチにめぐまれたオーストラリアは、そのような時間を演出するのにふさわしいデスティネーションだ。先日、日本旅行業協会(JATA)VWC2000万人推進室とJATAオーストラリア旅行促進部会が開催したオーストラリアハネムーン&ウエディングセミナーで、店頭販売スタッフによるパネルディスカッションが開催。ハネムーンやウエディング商品としてのオーストラリアについて、最近の消費者の傾向や販売をする上でのポイントについて、現場の視点での貴重な意見が交わされた。

▽モデレーター
JTBワールドバケーションズ オセアニア部 部長 日吉淳氏(VWCオーストラリア促進部会 座長)

▽パネリスト
エイチ・アイ・エス トラベルワンダーランド新宿本社営業所 近江恵里氏
エス・ティー・ワールド ビーチ・オセアニアウエディングファクトリー 下條真由子氏
JTB首都圏 八王子支店 金子友美氏


ハネムーンはお客の「イメージ」を大切に

 オーストラリアはハネムーン先として、日本ではメジャーなデスティネーションのひとつ。なかでも、国内、海外旅行のどちらにも精通している金子氏は「オーストラリアなら世界遺産もビーチも両方味わえる」ことを、オーストラリアのポイントとしてあげる。

 販売においては、どこの都市、見所がカップルのハネムーンニーズと合致するのか、相談を受けながら店頭スタッフが掘り起こしていくことが重要となる。オーストラリアを専門とする近江氏はお客の抱く「イメージ」を把握するために、政府観光局の写真や現地を旅行したスタッフ自ら撮った写真を活用し、顧客の潜在的ニーズを掴んだ旅行商品を提案している。一方、下條氏は「オーストラリアの漠然としたイメージを投げかけてくるお客様も少なくない」という。その場合、来店時のアンケートの趣味欄を参考に、その顧客の趣向にあいそうな行き先をすすめている。

 多くのハネムーン客の「オーストラリア像」に合致し、売れ筋商品となっているのは、エアーズロックとの組みあわせだ。下條氏、金子氏はハミルトン島やグリーン島をあわせたプランが人気だという。この他、近江氏はゴールドコーストも売れているという。また、オーストラリアは実際に旅行した顧客から不思議とクレームがないというのも、パネリストの共通意見。これはオーストラリアがハネムーンの旅行先として十分満足される証拠といえるだろう。


ウエディングの魅力を伝える販売側の工夫を

 海外ウエディングでは、ショッピングや食事などが充実したハワイの人気が根強いという。とはいえ、オーストラリアのウエディングもハワイとはまた違った魅力があり、徐々に人気が出てきているという。

 オーストラリアでのウエディングをさらに盛り上げていくためには、店頭スタッフが大きな鍵となる。実際、「オーストラリアの雄大な自然や固有の動植物は強み」と語る下條氏の場合、「コアラを抱っこして挙式ができるのはオーストラリアだけ」と興味をひいてから、コアラの愛らしさやオーストラリア人自身の温かさ、世界遺産の迫力などオーストラリア・ウエディングの魅力を、熱意を持って伝えることで顧客を獲得し、送客につなげているという。また、実際にチャペルを訪れた金子氏は「ホノルルに比べるとアットホームな場所が多く、ゆったりと時間をかけて挙式をしてくれる」とアピールしている。

 また、ウエディングの同行者の数は増加傾向にあるというのが、パネリストの共通した印象。販売の際は新郎新婦だけでなく、参列者のことも考えた上での提案が求められる。近江氏は「幅広い年齢層に対応できる観光素材があり、同行者のニーズにも応えられるという点でもオーストラリア旅行はおすすめできる」とし、夜フライトや時差の少なさといった利便性も、参列者により安心感を与えるポイントとなると説明した。また、ウエディングは挙式前日などに準備があり、どうしても新郎新婦と参列者が別行動となる場面が発生する。そこで金子氏は同行者を配慮して、新郎新婦なしでも観光がしやすいケアンズ、シドニーを、ベストシーズンを踏まえた上で紹介し、同行者にも満足してもらえる旅行を提案するよう心がけているという。
 

“豪州愛”がセールスの決め手

 セミナーの最後に、モデレーターの日吉氏がオーストラリアのハネムーンやウエディングを売るための「販売テクニック」とは何か、という質問をした。近江氏の「テクニック」とは「オーストラリアを如何に自分が愛し、自分が体験した感動をお客様にお伝えするか」ということ。仮に行ったことがなくても、まずは自信を持って商品をすすめることが販売では重要だという。そのための具体策として、金子氏は自分が旅行に行くつもりで自社商品をよく勉強することが重要だと語った。

 また、オーストラリアへの理解を深め、旅行商品を売るためのコツとして下條氏は「世界遺産を中心にどのような観光ができるかを考えると良い。また、各都市の特徴をおさえることで比較もできるのでセールスの際に役立つ」という方法を紹介した。愛の旅は、愛を持って制す。オーストラリアをよりいっそう愛し、情熱を傾けて学んでいくことが販売の武器となりそうだ。


取材:安井久美