ハワイ現地レポート:カウアイ島とオアフ島、スペシャリストと魅力を再発見
カウアイとオアフを巡り「ハワイ50選」プラス1を探す
〜ハワイ・スペシャリスト研修旅行に同行〜
ハワイ州観光局(HTJ)は、今年で5回目となるハワイ・スペシャリスト研修旅行を実施した。同観光局認定のスペシャリスト10名が参加し、10月19日から24日の4泊6日の日程でカウアイ島とオアフ島を訪れた。ツアーテーマは「『ハワイ50選』プラス1」。ハワイ50選とは、同局とハワイに関わる旅行業関係者が選出したハワイの魅力のことで、有名な観光地だけでなく、アクティビティやカルチャーなど多岐に渡ってラインナップしている。この50選のいくつかを巡りながら、スペシャリストならではの視点で「プラス1」の魅力を探す旅となった。
カウアイ島の大自然にタッチ
事前の説明会で、カウアイ島はニワトリが多いと聞いていた。島に着いたとたん、バスの車窓から至るところにニワトリを見つけ、思わず「本当だ」とつぶやいたほど。これらは野生のニワトリで、そのほかにもところどころで多くの野鳥に出会う島だ。ガーデンアイランドにプラスして、ぜひバードアイランドの愛称も掲げてほしい。
車窓から「あれがスリーピング・ジャイアントだよ」と島の東に位置するノウノウ山を教えてもらっているうちに、ワークショップの会場となる「アストン・カウアイ・ビーチ・アット・マカイワ」に到着。同リゾートから望むビーチの景色は壮観だが、そこに観光客がほとんどいないというのも印象的だ。カウアイ島のホテルは年間の平均稼働率が40%で、ハイシーズンでも70%しか上がらないという。客層の多くはシニア層で、その実態は行く先々で実感できた。日本人のシェアは各ホテルとも1%から5%程度でネガティブな要素にも聞こえるが、裏を返せば新たな市場開拓につながる可能性を秘めているといえるだろう。
この島の最大の特徴は、地球の歴史を感じさせる雄大で緑豊かな大自然。それを象徴するのがナパリ・コーストとワイメア峡谷だろう。今回はタイトなスケジュールの中、ワイメア峡谷へ向い、ワイメア展望台まで行くことができた。天気によって見え方が異なるというが、この日は快晴。“太平洋のグランドキャニオン”は、本家より赤茶けた岩肌にグリーンのコントラストが効いて、雄大に横たわっていた。ナパリ・コーストもワイメア峡谷も、その自然を体感するならトレッキングだ。さまざまに用意されたコースは、初心者はもちろん、年齢的にも幅広いマーケットにもすすめられる。次回はしっかり準備をしてぜひその中を歩いてみたい。
人気の観光施設キロハナ・プランテーションとスミス・トロピカル・パラダイス
キロハナ・プランテーションは、この島がサトウキビ産業に沸いた20世紀初頭の大農園時代を伝える施設のひとつ。リフエからポイプ方面に約1.5キロ、105エーカーという広大な園内に地主ゲイロード・ウィルコックス氏の館が残っている。アンティークの家具や当時の写真が飾られた母屋はちょっとした博物館になっているほか、メインダイニングは地元でも有名なレストランに、2階の子供部屋や寝室はジュエリーショップになっている。
2007年からは当時の鉄道を模した列車「カウアイ・プランテーション・レールウェイ」で園内を回ことができるようになった。約40分のツアーでは、サトウキビと風除けのために植えられたフルーツの木々を交互に眺め、途中下車して野生のブタに餌やりをする体験もある。さらに今年8月、新施設「コロア・ラム」がオープンした。これまでこの島にサトウキビを原料とするラム酒の施設がなかったのはむしろ不思議で、カウアイ島に待望のスポットが登場したといえるだろう。
夕方からは、スミス・ファミリー・ガーデン・ルアウに参加した。その会場となるスミス・トロピカル・パラダイスは、ハワイ50選の1つでもあるワイルア川の流域にある。ここは海を渡ってやってきたポリネシア人が安住の地として選んだ場所で、いわばハワイ文化発祥の地だ。川を遡った先にあるシダの洞窟を含め、スミス・ファミリーが4世代、約50年に渡って経営している。そんな場所でのルアウもまた、古代ハワイアンの神聖な儀式を再現したスタイルで見ることができるのだ。
入口に到着すると、参加者はまず広大な植物園を列車でひと巡りする。花園や果実園のほか、ポリネシア村、日本庭園などが点在し、しばし歴史散策が楽しめる趣向だ。午後6時になるとイム・セレモニーがスタート。ほら貝の音色が響いた後、2人の若者が地中で蒸したブタの丸焼きを掘り出す。ハイライトは、ポリネシアやアジア各国の歌やダンスのショータイム。緑に覆われた屋外のステージでドラマチックに演出され、子どもからシニアまで楽しめるよう工夫されていた。
オアフ島で体験、最新素材
オアフ島では、最新のアトラクション体験が用意され、変わりゆくハワイを実感した。立州50周年のハワイ州と同様、今年50周年を迎えたアラモアナセンター。現在の総店舗数は290以上となり、世界最大規模のアウトドア・ショッピングセンターとして日々進化を遂げている。また、2008年にリニューアルしたロイヤル・ハワイアン・センターにも、新店舗が続々と入っている。ハワイ初上陸のウルフギャングス・ステーキハウス、コナコーヒーの専門店アイランド・ビンテージ・コーヒーなどを駆け足で見学したが、ワイキキの進化は思っている以上に早いようだ。
オアフ島での目玉となったのは、ポリネシア・カルチャー・センターの「ハァ:ブレス・オブ・ライフ」。これまでの「ホライズン」に代わる新たなイブニングショーで、少年マナが成長していく様をハワイ、トンガ、ニュージーランド、サモア、タヒチ、フィジーそれぞれの文化を通してドラマチックに構成している。以前よりストーリー性が高くなったが、合間に映し出される影絵のようなアニメーションが補足してくれるので、子どもでも英語がわからなくても理解できるようになっている。何より出演者の熱演と気迫がまざまざと伝わる迫真のステージに、ハワイに関して目の肥えたスペシャリストたちをも唸らせていた。
また、海のアクティビティでは、90分のカタマランクルーズに参加。全長45フィートのカタマラン「Na Hoku II号」は、モアナ・サーフライダー・ウエスティン・リゾート&スパ前のビーチから乗り込む。出航すると一直線に沖へ進み、時に船が大きな波を越えるときには、ジェットコースターのようなスリルも味わえる。クルーズ中は大きなウミガメに遭遇したが、時にはイルカやクジラ(12月末〜4月)にも出会えるという。30分も経つと海からダイヤモンド・ヘッドを含むワイキキが一望できる。同じ風景を夕景で望むなら、午後5時30分に出発するイブニング・クルーズがいいだろう。
訪れる度に発見、ハワイのプラス1
今回のメンバーとなった10名は、東京ほか、大阪、愛知、新潟、群馬、茨城などから参加。年齢も勤務年数もばらばらだが、ハワイに思い入れがあり、スペシャリストであることが共通点だ。驚いたのは、多くが有給など休みを利用して参加していたこと。なかには5日間しか休めないため、最後の1日を削って帰国した人もいたほどだ。何度も訪れるチャンスがあるのに、タイトなスケジュールでも参加するあたりに、ハワイへの想いの強さが感じられる。
最終日、ワイキキ・パーク・ホテルでのレセプションで、各自のプラス1を発表。ハワイ50選が目に見えるものであるのに対し、スペシャリストが見つけたプラス1は感覚的なものが多かった。たった6日間の短い旅行中に、2人も親しくなったハワイアンができたことで「人との出会い」をあげる人もいれば、ハワイのもつエネルギーやパワーに触れたという人も。また、「風」「海の色」「水」「空」「ホスピタリティ」といったワードも飛び出し、どれもがハワイの“51選目”といえるだろう。
HTJ代表の一倉隆氏は、「まだハワイに行ったことがない人、オアフ島以外の島には行ったことがない人は多く、これを変えていきたい。そのためにも、スペシャリストでさえ来る度に発見のあるハワイの多様性をアピールしていく」と挨拶。参加者から提案のあった研修旅行OB会も、今後の検討課題にしたいとしている。
〜ハワイ・スペシャリスト研修旅行に同行〜
ハワイ州観光局(HTJ)は、今年で5回目となるハワイ・スペシャリスト研修旅行を実施した。同観光局認定のスペシャリスト10名が参加し、10月19日から24日の4泊6日の日程でカウアイ島とオアフ島を訪れた。ツアーテーマは「『ハワイ50選』プラス1」。ハワイ50選とは、同局とハワイに関わる旅行業関係者が選出したハワイの魅力のことで、有名な観光地だけでなく、アクティビティやカルチャーなど多岐に渡ってラインナップしている。この50選のいくつかを巡りながら、スペシャリストならではの視点で「プラス1」の魅力を探す旅となった。
カウアイ島の大自然にタッチ
事前の説明会で、カウアイ島はニワトリが多いと聞いていた。島に着いたとたん、バスの車窓から至るところにニワトリを見つけ、思わず「本当だ」とつぶやいたほど。これらは野生のニワトリで、そのほかにもところどころで多くの野鳥に出会う島だ。ガーデンアイランドにプラスして、ぜひバードアイランドの愛称も掲げてほしい。
車窓から「あれがスリーピング・ジャイアントだよ」と島の東に位置するノウノウ山を教えてもらっているうちに、ワークショップの会場となる「アストン・カウアイ・ビーチ・アット・マカイワ」に到着。同リゾートから望むビーチの景色は壮観だが、そこに観光客がほとんどいないというのも印象的だ。カウアイ島のホテルは年間の平均稼働率が40%で、ハイシーズンでも70%しか上がらないという。客層の多くはシニア層で、その実態は行く先々で実感できた。日本人のシェアは各ホテルとも1%から5%程度でネガティブな要素にも聞こえるが、裏を返せば新たな市場開拓につながる可能性を秘めているといえるだろう。
この島の最大の特徴は、地球の歴史を感じさせる雄大で緑豊かな大自然。それを象徴するのがナパリ・コーストとワイメア峡谷だろう。今回はタイトなスケジュールの中、ワイメア峡谷へ向い、ワイメア展望台まで行くことができた。天気によって見え方が異なるというが、この日は快晴。“太平洋のグランドキャニオン”は、本家より赤茶けた岩肌にグリーンのコントラストが効いて、雄大に横たわっていた。ナパリ・コーストもワイメア峡谷も、その自然を体感するならトレッキングだ。さまざまに用意されたコースは、初心者はもちろん、年齢的にも幅広いマーケットにもすすめられる。次回はしっかり準備をしてぜひその中を歩いてみたい。
人気の観光施設キロハナ・プランテーションとスミス・トロピカル・パラダイス
キロハナ・プランテーションは、この島がサトウキビ産業に沸いた20世紀初頭の大農園時代を伝える施設のひとつ。リフエからポイプ方面に約1.5キロ、105エーカーという広大な園内に地主ゲイロード・ウィルコックス氏の館が残っている。アンティークの家具や当時の写真が飾られた母屋はちょっとした博物館になっているほか、メインダイニングは地元でも有名なレストランに、2階の子供部屋や寝室はジュエリーショップになっている。
2007年からは当時の鉄道を模した列車「カウアイ・プランテーション・レールウェイ」で園内を回ことができるようになった。約40分のツアーでは、サトウキビと風除けのために植えられたフルーツの木々を交互に眺め、途中下車して野生のブタに餌やりをする体験もある。さらに今年8月、新施設「コロア・ラム」がオープンした。これまでこの島にサトウキビを原料とするラム酒の施設がなかったのはむしろ不思議で、カウアイ島に待望のスポットが登場したといえるだろう。
夕方からは、スミス・ファミリー・ガーデン・ルアウに参加した。その会場となるスミス・トロピカル・パラダイスは、ハワイ50選の1つでもあるワイルア川の流域にある。ここは海を渡ってやってきたポリネシア人が安住の地として選んだ場所で、いわばハワイ文化発祥の地だ。川を遡った先にあるシダの洞窟を含め、スミス・ファミリーが4世代、約50年に渡って経営している。そんな場所でのルアウもまた、古代ハワイアンの神聖な儀式を再現したスタイルで見ることができるのだ。
入口に到着すると、参加者はまず広大な植物園を列車でひと巡りする。花園や果実園のほか、ポリネシア村、日本庭園などが点在し、しばし歴史散策が楽しめる趣向だ。午後6時になるとイム・セレモニーがスタート。ほら貝の音色が響いた後、2人の若者が地中で蒸したブタの丸焼きを掘り出す。ハイライトは、ポリネシアやアジア各国の歌やダンスのショータイム。緑に覆われた屋外のステージでドラマチックに演出され、子どもからシニアまで楽しめるよう工夫されていた。
オアフ島で体験、最新素材
オアフ島では、最新のアトラクション体験が用意され、変わりゆくハワイを実感した。立州50周年のハワイ州と同様、今年50周年を迎えたアラモアナセンター。現在の総店舗数は290以上となり、世界最大規模のアウトドア・ショッピングセンターとして日々進化を遂げている。また、2008年にリニューアルしたロイヤル・ハワイアン・センターにも、新店舗が続々と入っている。ハワイ初上陸のウルフギャングス・ステーキハウス、コナコーヒーの専門店アイランド・ビンテージ・コーヒーなどを駆け足で見学したが、ワイキキの進化は思っている以上に早いようだ。
オアフ島での目玉となったのは、ポリネシア・カルチャー・センターの「ハァ:ブレス・オブ・ライフ」。これまでの「ホライズン」に代わる新たなイブニングショーで、少年マナが成長していく様をハワイ、トンガ、ニュージーランド、サモア、タヒチ、フィジーそれぞれの文化を通してドラマチックに構成している。以前よりストーリー性が高くなったが、合間に映し出される影絵のようなアニメーションが補足してくれるので、子どもでも英語がわからなくても理解できるようになっている。何より出演者の熱演と気迫がまざまざと伝わる迫真のステージに、ハワイに関して目の肥えたスペシャリストたちをも唸らせていた。
また、海のアクティビティでは、90分のカタマランクルーズに参加。全長45フィートのカタマラン「Na Hoku II号」は、モアナ・サーフライダー・ウエスティン・リゾート&スパ前のビーチから乗り込む。出航すると一直線に沖へ進み、時に船が大きな波を越えるときには、ジェットコースターのようなスリルも味わえる。クルーズ中は大きなウミガメに遭遇したが、時にはイルカやクジラ(12月末〜4月)にも出会えるという。30分も経つと海からダイヤモンド・ヘッドを含むワイキキが一望できる。同じ風景を夕景で望むなら、午後5時30分に出発するイブニング・クルーズがいいだろう。
訪れる度に発見、ハワイのプラス1
今回のメンバーとなった10名は、東京ほか、大阪、愛知、新潟、群馬、茨城などから参加。年齢も勤務年数もばらばらだが、ハワイに思い入れがあり、スペシャリストであることが共通点だ。驚いたのは、多くが有給など休みを利用して参加していたこと。なかには5日間しか休めないため、最後の1日を削って帰国した人もいたほどだ。何度も訪れるチャンスがあるのに、タイトなスケジュールでも参加するあたりに、ハワイへの想いの強さが感じられる。
最終日、ワイキキ・パーク・ホテルでのレセプションで、各自のプラス1を発表。ハワイ50選が目に見えるものであるのに対し、スペシャリストが見つけたプラス1は感覚的なものが多かった。たった6日間の短い旅行中に、2人も親しくなったハワイアンができたことで「人との出会い」をあげる人もいれば、ハワイのもつエネルギーやパワーに触れたという人も。また、「風」「海の色」「水」「空」「ホスピタリティ」といったワードも飛び出し、どれもがハワイの“51選目”といえるだろう。
HTJ代表の一倉隆氏は、「まだハワイに行ったことがない人、オアフ島以外の島には行ったことがない人は多く、これを変えていきたい。そのためにも、スペシャリストでさえ来る度に発見のあるハワイの多様性をアピールしていく」と挨拶。参加者から提案のあった研修旅行OB会も、今後の検討課題にしたいとしている。
全米ベストビーチ、ハナレイ湾
ひっそりと美しいハリウッド映画の舞台
映画「南太平洋」において、伝説の島バリ・ハイ
を望む場所となったハナレイ湾。その他映画
「ブルーハワイ」などの舞台としてもあまりに有名
だ。そんな名所だが、実際に訪れると実にシンプル
で静かなビーチだった。あともう少しで夕景という
半端な時間の訪問だったが、ここがいくつもの映画
の舞台となり、全米ベストビーチ・ナンバー1に選出
された魅力が少しだけわかった気がする。地元の
人々に愛され、慈しまれている様子が伝わってきた
からだ。ただ美しいというだけでなく、そこで思い思いに過ごす人たちの日常も含めて、
その土地が美しいということなのではないだろうか。もし、ここを訪れる機会があるなら、
その道中で望むことができるタロイモの水田とワイアレアレ山の田園風景も必見だ。心洗
われる風景がそこにある。
今週のハワイ50選
ナパリ・コースト(カウアイ島)
ワイメア峡谷(カウアイ島)
キロハナ・プランテーション(カウアイ島)
ワイルア川/シダの洞窟(カウアイ島)
アラモアナセンター(オアフ島)
ワイキキ(オアフ島)
ダイヤモンド・ヘッド(オアフ島)
ハナレイ湾(カウアイ島)
取材:竹内加恵