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オーストラリア政観、ビジネスイベント地のブランド強化、CSRを推進

  • 2009年10月19日
(シドニー発:平山喜代江) オーストラリア政府観光局(TA)はオーストラリアでの企業会議やインセンティブツアーなどビジネスイベントに特化した「ドリームタイム2009」を10月12日から16日まで開催した。今回はメルボルン、シドニー、アデレード、サンシャインコースト/ブリスベン、エアーズロックの各地でインセンティブ向けの素材を体験後、トレードショーをシドニーの遊園地「ルナパーク」で実施。初めてシンポジウムも実施した。主要マーケットである15ヶ国から旅行会社77人がバイヤーとして集まり、コンベンションセンター、ホテル、現地のビジネスイベントのオペレーターなど53社と2500にわたる商談会が行なわれた。日本からは8人が参加した。

 TAマーケティング統括本部長ニック・ベイカー氏によると、「レジャーとビジネスマーケットともに世界的不況と新型インフルエンザの影響があったものの、オーストラリアは楽観できる理由がある」と話す。メルボルンで世界宗教会議(2009年12月開催、1万人)、国際内科学会議(2010年3月、4000人)、シドニーでは第7回国際歯科矯正会議(2010年2月、6000人)など数千人単位の国際イベントの開催が予定され、今後6ヶ月で5万人の集客が見込まれている。「オーストラリアは世界的不況の中でもイベントやミーティングのデスティネーションとして選ばれている」とベイカー氏は強調する。

 TA内のビジネスイベント・オーストラリア(BEA)のトップであるジョイス・デマシオ氏はホテル、イベント会場、コンベンションセンターなどビジネスイベントに関わるインフラ投資が過去2年間で81億豪ドルにのぼると発表。これには、シドニーのイベント向け複合施設、国内の環境性能評価基準グリーンスターの6ツ星を取得したメルボルンのコンベンション&エキシビジョンセンター、エミレーツグループのウォルガン・バレー・リゾート・アンド・スパ、南オーストラリア州のサザン・オーシャン・ロッジなどが含まれる。
 
 BEAの2009年から2010年の施策として、メルボルンで開催されるアジア太平洋インセンティブ&ミーティングEXPO(AIME)などの業界向けイベントへの出展、各州のコンベンションビューローとの連携、主要媒体への広告などを実施するという。さらに、デマシオ氏はインセンティブ向けデスティネーションとしてのブランド力強化のために、CSR(企業の社会的責任)を推進する方向性を明らかにした。なかでも旅行業に大きく関わる「環境保全や地域への貢献を重視していく」という。今回のドリームタイムにおいても、すべてのプログラムでTAのCSR基準にコミットしたサプライヤーが選ばれた。資料はCD−ROM配布により紙の使用量を削減し、食事も地元産の素材を使うなど初めて“環境”を意識した運営となった。

 ツーリズム・リサーチ・オーストラリア(TRA)によれば、 2008年にオーストラリアでインセンティブイベント(報奨旅行)に参加したのは160万人。このうち海外からは11%だが、出費額全体ではアウトバウンドが51%を占めており、海外からのインセンティブツアーが重要マーケットであることを示している。一方、2008年にビジネスイベント(企業会議、国際会議、セミナー、トレードショー、展示会)を目的にした海外からの訪問者数は37万7000人で、そのうち日本からは1万5000人で全体の4%。ニュージーランド(25%)、米国(11%)、中国・英国(7%)、シンガポール(5%)に次いで日本は6番目となっている。