インタビュー:ケニア観光副大臣 セシル・ムベリレ氏

日本市場の活性化をめざし、直行便就航にも意欲
ケニアから、観光使節団がJATA世界旅行博にあわせて来日した。近く、日本にケニア政府観光局を開設する方針で、ケニア旅行の企画者や手配会社などともコンタクトをとってみたいというセシル・ムベリレ観光副大臣に、日本での戦略展開について聞いた。
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−旅行博での人々の様子をご覧になって、いかがですか
ムベリレ氏(以下、敬称略) 多くの人がケニアのブースを訪れており、日本の人々は以前よりもケニアに興味を持ってくれていると感じました。国へ帰ってから日本からの渡航者数に違いが表れることを祈っています。
−日本人渡航数は今、どのような状況でしょうか
ムベリレ 2007年には1万2000人を数えていた日本人渡航者数が、国内での騒乱があったために昨年から今年にかけては7000人まで落ち込んでいます。近いうちに日本に政府観光局を開設しますし、言葉の壁をなくすため日本語によるパンフレット制作やウェブサイトの開設もしていますので、日本からの渡航者数は2年から3年以内に元の数字かそれ以上にまで戻ることでしょう。
−観光局ではどのような活動を予定していますか
ムベリレ 消費者に直接届くようなキャンペーンやイベントなどの開催を考えています。さらに、さまざまなメディア、特に旅行ジャーナリストや旅行会社、ツアーオペレーターなどに実際にケニアに来てもらい、消費者に向けてケニアがどのようなところかを発信していただきたいです。できれば今年の11月までに一度、FAMトリップを企画したいと考えています。
−日本は渡航者数が落ちているにもかかわらず、新たに観光局を設立するのはなぜでしょう

それに、渡航者数が落ちているのは日本だけではありません。経済危機でどの国も数は落ちているのですが、日本はケニアへの興味の度合いが他国と比べ高いので、重要な市場だと考えているのです。
−日本に観光局を開いた後の戦略やプロモーション計画はありますか
ムベリレ 日本ではインターネットユーザーが6割を超えると聞いていますので、まずはインターネットを利用したマーケティングを考えています。フェイスブックやツイッターといったツールを利用して私たちの情報が少しでも多くの人々にいきわたるようにしたいと思います。また、この旅行博のようなイベントでブローシャーを配ることもひとつの方法ですね。
ただ、より重要なことはナイロビと東京を結ぶ直行便の就航について日本政府と交渉することだと思っています。すでに日本政府、外務省やJATAなどと交渉を開始しているところですが、この結果が日本の旅行者をケニアに呼ぶ大きなカギとなることは間違いありません。
−特に力を入れたいターゲット層はありますか
ムベリレ シニアですね。直行便がない現況では休みの短い若い人々にとってケニアは往復だけで時間をとられてしまいますから。リタイアした後のシニアならば渡航に時間がかかってもたっぷり現地で過ごす時間をとれるでしょう。もちろん若者層をターゲットにしたキャンペーンも続けていきたいと考えていますが、やはり直行便がないと難しいでしょうね。
−直行便就航はいつごろになりそうですか
ムベリレ ケニアにとってビジネスも含めたあらゆる面で直行便の就航は重要課題であるため、各方面で協議と交渉が続けられています。そんなに長期間にはわたらないと思っていますが、まだはっきりとした時期はいえません。「なるべく早く」というのが私たちの望みです。
−来年南アフリカで開催されるサッカーワールドカップにともない、日本市場はアフリカに注目しているところです。これに対しプロモーション策などがありますか

また、南アフリカだけですべての観戦客を取り扱うことはできないので、観戦の前に数日間をケニアで過ごす人なども増えると見込んでおり、このチャンスを大きく利用したいと思っています。日本からの渡航者も来年は増えるでしょうね。
−アフリカは治安が悪いというイメージがあり、日本人旅行者が懸念するところです
ムベリレ 日本の人々にはまずケニアは安全であることを知っていただく必要があります。観光警察があり、治安に関しては大変整備が進んでいるといえるでしょう。政情も安定していますし、観光客が巻き込まれた重大な事件はありません。全土にわたって安全な国なのです。なにより、外務省の渡航情報レベルが3段階から2段階、1段階に引き下げられたことがよかったと思っています。レベル1に近づきつつあり、旅行会社の方々も安心してケニアに旅行者を送れるようになりました。
現在は100万人の渡航者がおり、2012年までに全世界から250万人の渡航者受け入れをめざしています。主にイギリス、ドイツ、フランスの順に渡航者が多くなっていますが、この順位は変わることもあるでしょう。もちろん日本がナンバーワンになる可能性もありますが、とりあえずは以前の1万2000人の水準まで戻すことを目標にしています。
ありがとうございました