観光活性化フォーラム
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御手洗経団連会長、「訪日1000万人達成を大いに期待」−需要は上向き

  • 2009年9月30日
 日本政府観光局(JNTO)は9月29日、業界関連団体トップの有識者を委員とするJNTO特別顧問会議を開催した。座長を務める日本経済団体連合会会長の御手洗富士夫氏は、「来年はビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)の目標年度である2010年。環境は厳しいが、JNTOは1000万人の目標達成に向け中核的な役割を積極的に果たしていくことを大いに期待したい」と挨拶。JNTO間宮忠敏氏は「来年はビジット・ジャパン・イヤーのキャンペーンを通年で展開する。新型インフルエンザなど予断は許さないが、市場が上向きに動く兆候が見られ、秋以降も質の高いプロモーションを継続していきたい」と意欲を述べた。

 御手洗氏は「世界経済が大変厳しい中で、日本経済を牽引する新たな産業の振興が日本の将来にとって重要かつ喫緊の問題」と指摘。その上で、観光について「国際観光の振興により、海外からの多くの旅行者に日本を訪れてもらい、日本の魅力に触れてもらうことは、日本経済や地域の活性化だけでなく、国際間の相互理解の促進や、観光産業の発展による新規雇用の創出にも資するもの。その重要性はますます高まっていると言える」と語り、JNTOの活動の成果に期待を示した。

 間宮氏は「景気低迷の影響、燃油サーチャージ、円高、新型インフルエンザなどの要因により、今年1月から8月の累計は25.3%減と大変厳しい」と現状を説明。一方で、「8月は8.4%減と減少幅が大変小さくなった。また、中国、カナダ、アメリカ、フランスはプラスに転化している。特に中国は個人ビザの解禁による宣伝効果もあり、17.3%もの伸びを示し、8月としては初めて10万人台を突破した」と需要を強調。懸念材料として、「新型インフルエンザの感染拡大がある」と指摘したものの、「風評被害、訪日客減少を最小に抑えられるよう、過去の経験を活用し適切な情報を出していきたい」と語った。

 また、来年のビジット・ジャパン・イヤーについて間宮氏は、「これまで以上に地方自治体や民間事業者との協力を深めて、日本を訪れいと思わせるような仕掛けをしていきたい」方針を説明。その上で、「世界経済はいまひとつ不透明だが、観光、特にインバウンドは将来にわたってさらに成長する分野。国際競争もますます厳しくなると予想しているが、新政権のもとで、観光立国は引き続き最重要の国家戦略の一つと位置づけられていると認識しているので、身が引き締まる思いで、国民の期待に応えていきたい」と強調した。