観光庁、インフルエンザの風評被害緩和に取り組み−海外旅行でも行動へ

  • 2009年5月27日
 観光庁長官の本保芳明氏は5月26日の定例会見で、「風評被害(の対策)が最も重要」と語り、観光庁としても取り組みを進める方針を説明した。現状の認識としては「報道も落ち着いてきており、印象が変わりつつある」ものの、「修学旅行、企業、個人の旅行を含めて、関西などは風評被害と言って良い状況」といい、都道府県に対して旅行自粛などの方針の見直しを求めるなど施策を展開する考えだ。

 旅行業界が受けた影響のうち、観光庁として現在発表できる数値は、修学旅行の取消件数のみといい、5月22日現在で国内が1598件、海外が403件となっている。海外が15日の時点が202件、18日が310件、20日が400件であるのに対し、国内は海外からのシフトを含めて、15日は75件であったが18日には418件、20日は853件、22日には1598件と大きく増加。この数値はジェイティービー(JTB)、近畿日本ツーリスト(KNT)、日本旅行、トップツアー、東日観光、阪急交通社、東武トラベルの合計数値といい、全体数はさらに多いと考えられる。

 風評被害については、「火を小さくして消す」ことが重要と強調。そのための措置として、都道府県に対して、5月22日の政府の対策緩和を契機に出張やイベント開催の指針を見直したかを調査すると説明。これは「言外に見直して欲しいというメッセージを込める」狙いだ。また、台湾やロシアなど日本への旅行を自粛するよう求める動きがある諸外国に対して、外交ルートを通じて働きかける考えもあるという。中国や韓国では日本人訪問者の減少を懸念する声もあることから、この対応を含めて措置を取る方針。このほか、「火は消えても被害は残る」ことから、政府や中小企業庁など関係各所に対して、「できる限りのこと」をしてもらえるよう働きかけを強める考えも示した。