より旅行者に優しいアメリカへ−パウワウ、日本のインフル反応に苦言も

2009年3月には、ダウ氏を始めとする米国観光業界の重鎮13名とオバマ大統領との直接会見が実現。旅行業界の声を直接大統領に伝える機会は初めてで、議会や行政に対する旅行業界からの働きかけを本格化する大きな一歩と考えられる。旅行業界としては、外国からの旅行者がアメリカへ入国する際のプロセスをより迅速に、しかもホスピタリティを感じさせるものにすることの重要性を訴えた。これに応え、アメリカ政府は入国管理に関するいくつかの試みをおこなっている。入国検査のプロセスをわかりやすく説明したビデオの制作をディズニーに依頼するなど、カスタマーサービス向上のために連邦政府が始めた「入国地点モデル・プログラム(The Ports of Entry program)」の推移を、アメリカの旅行業界は好意的に受け止めていることがうかがわれた。
▽新型インフルエンザへの危機管理

これに対し、開催直前になって日本からの参加者からキャンセルが相次いだことはかなり目立ち、重く受け止められているようだ。急なキャンセルでアポイントの調整がつかず、“ノーショー”と同じような状況になってしまったセラーからは疑問の声も上がっている。ダイヤモンド・ビック社の西川敏晴会長はパウワウの主催者側などから、日本の旅行会社やメディア、例年訪れる人が参加していないことについてどう思うかという質問を受けたことを紹介し、「残念ながら、相手の方々を説得するのはとてもむずかしく、理解を得られる説明もし難かった」と話した。さらに西川氏は日米の状況判断の違いは、文化的な背景の違いはもちろん、日本型の危機管理の現状を象徴するものではないかととらえ、「日本型の危機管理のやり方がこのままで良いとは思えない」と述べた。
ある日本の旅行会社では、「カナダやアメリカの現地法人との認識の違いが、同じ社内でも問題となり、キャンセル料の発生やその処理方法などをめぐり調整が難しくなっている」という声もあるとのことだ。SARSなどの場合は、他の国からもキャンセルが発生し、ホテルを説得するのも比較的容易にできたが、今回の場合、日本の動きだけが際だっており、対応の難しさが出ているものと思われる。
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