旅のテーマ:世界のパワースポット(5)バリ島(インドネシア)

  • 2009年4月24日
濃厚な自然と信仰が醸し出す神々の島

 世界的なリゾートアイランド、インドネシアのバリ島は、独自の文化を色濃く残す島の顔も持つ。島民の約9割が土着の信仰とインドの仏教やヒンドゥー教が融合した「バリ・ヒンドゥー」の熱心な信者であり、日々の祈りを欠かさない。島を歩けば、至るところで神々に祈りを捧げる島民の姿を目にする。また頻繁に祭りや儀式が行なわれている様子も見かけるだろう。人々は草木や岩に精霊が宿ると考えており、ここにも「アニミズム」の世界観が根付いている。

 東京都の約2倍の面積をもつバリ島は、しばしば「神々の島」と呼ばれる。ヒンドゥー教は多神教の宗教の代表だが、島内には総数2万もの寺院が点在しており、それぞれの寺院に神々が祭られているのだから、そう呼ばれるのは不思議ではない。さらに熱帯の濃厚な緑は、草木に宿る精霊の気配を感じさせる。ここは特定の場所というより、島全体が「パワースポット」として世界的に知られている。

 高級リゾートに滞在し、スパのプログラムで癒される人がいる一方、バリ島の自然に触れ、精神的なヒーリングを求めるために訪れる人も大勢いる。バリ島が幅広い層に受けている理由のひとつだろう。


寺院を訪れ本物の「パワースポット」に出会う

 個人差はあるが、訪れた誰もが自然と居ずまいを正してしまう、島の寺院にはそんな荘厳な雰囲気が漂う。その中でパワースポットの筆頭にあげられる寺院が、島の東部に位置するブサキ寺院。バリ・ヒンドゥーの総本山であり、多くのバリ人の信仰を集める重要な場所だ。神が住むとされる聖なる山のアグン山の麓にある、大小30もの寺院が集まる巨大な寺院。アグン山は標高3142メートルのバリ島最高峰で、霧に包まれていることが多く、なかなか頂を見ることができない。霧のアグン山をバックにして、玄武岩でできた黒っぽい寺院や門がそそり立つ光景は、幽玄かつ神秘的だ。

 ブサキ寺院がある場所は、8世紀には仏教の修行の地であったという。11世紀に寺院が建立され、16世紀にはゲルゲル王朝王家の寺院となり、隆盛を誇った。以降ブサキ寺院は、バリ島各地の寺院を包括する「母なる寺院」となる。数多くある寺院は各カーストによって参拝する場所が異なっており、また寺院が多いゆえに祭礼(オダラン)が多く、その回数は年55回にもなるという。

 ブサキ寺院はバリ島のデンパサールから北東に直線距離で約43キロメートル、ウブドからは27キロメートル。見学する際、各寺院の門から先はバリの正装姿でないと立ち入れないが、寺院の周辺を歩くだけでもバリらしい建築の数々と「パワースポット」としての寺院の雰囲気を感じることができる。ただし、近寄ってくるガイドには要注意。法外なガイド料をふっかけられる悪質なケースが多いので、注意するように案内をしておきたい。






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