旅のテーマ:アニメの舞台を訪ねる(1)スイス、ハイジの世界

日本人旅行者が大挙して訪れる町

マイエンフェルトは、全世界で累計5000万部も発行され驚異的なロングセラーを誇る『アルプスの少女』の物語の舞台。1974年に日本で放映されたアニメは、その後何度も再放送され、その都度ファンを増やしていった名作だ。この作品に携わったのが高畑勲や宮崎駿という、現在の日本アニメ界の巨人であったこともあるが、制作のために現地に行き、その風景を忠実に再現した画期的な作品ということでも高い評価を受けている。原作者のヨハン・シュピリは子供の頃にこの周辺で何度か夏を過ごし、その経験をもとに作り上げた。今でも世界中で愛読されており、実写版の映画も何度か作られている。しかし日本では圧倒的にアニメのイメージが強い。
マイエンフェルトは緑深い山に囲まれた静かな町で、町並みはアニメで描かれている世界そのもの。世界中から訪れるハイジファンのために、町にはハイキングコースが整備されていて、のんびり歩いて町が巡れるようになっている。コースは2つあり、「赤コース」は1周2時間ほどの平坦なコース。途中には「ハイジの泉」や「ハイジハウス」など、ハイジゆかりの見どころがある。「ハイジハウス」にある「わらのベッド」はアニメファンには必見のポイント。町には「わらのベッド」を備えた宿泊施設もある。
アニメの世界を追体験

広々としたアルプ、そこに響くカウベルの音、そして遠くにそびえる白いアルプス――。このアニメを見て、自分の中にスイスアルプスのイメージを作り上げた人は多い。実は物語の舞台であるマイエンフェルトは、それほど標高が高くないため、山の上に登ってもまだ森林限界の下。ここで広いアルプの風景をここで見ることはできない。しかし場所を変えれば、アニメのイメージ通りの風景と出会える場所がたくさんある。『アルプスの少女ハイジ』で作られたスイスのイメージ。それを裏切らないのが、スイスが日本人のデスティネーションとして根強い人気を誇る理由だろう。