観光活性化フォーラム
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IATA債務保証の決定プロセスに不満集まる−APJC再開催の可能性も

  • 2009年4月3日
 国際航空運送協会日本事務所(IATA-Japan、以下IATA)が導入を決定した債務保証制度について、IATA側が直接説明する説明会が4月2日に開催された。これは、日本旅行業協会(JATA)がIATA代理店であるJATA会員に対して正確な情報を入手するための場として設定したもの。報道機関の取材は認められなかったが、参加者によると、説明会ではJATA事務局長の奥山隆哉氏が挨拶した後、IATA側から代理店契約の概要やこれまでの保証制度の変遷などについて説明。続く質疑応答では、参加者から制度そのものへの疑問のほか、航空会社独自の保証制度との二重負担の解消や、債務保証額の軽減措置の要件の緩和などの要望が出されたという。

 参加者の話を総合すると、説明会は広く納得を得られたものではないようだ。まず、IATAが、制度導入を決定したのは航空会社8社と旅行会社8社で構成されるIATA代理店制度合同評議会(APJC)であり、APJCが窓口である旨の説明したことについて、「逃げの姿勢」と批判的に捉える声が複数あった。また、APJCの旅行会社のメンバーはこれまで、JATAが海外旅行委員会に所属するJATA役員の会社でBSP発券額上位の会社を選んでいたため、APJC自体やJATAに対しても「中小規模の旅行会社の声が反映されない」との不満が多くある。「債務保証の基本的な考え方は理解できる」という参加者でも、「今回の決定は唐突で、もっとオープンな議論があってしかるべき」と語る。

 質疑応答では、「(財務体質が)健全な会社も含めてなぜ一律に導入するのか」「IATAが監視体制を強化すれば良いのでは」「旅行会社の規模によって負担率が違う」「デフォルトのリスクに対して集める額が多すぎる」などの趣旨の質問や指摘が出された。これに対してIATA側からは「個別の案件には答えられない」との前提で、デフォルトを起こす会社を見抜くことの難しさや、他国と比較して日本はデフォルト件数が少ないものの額が大きいなどの説明がなされたという。ただし、参加者の1人は「個別と言うならば、個々の会社の資産状況をそれぞれ勘案して欲しい」と語り、IATA側の対応に疑問を示した。

 今後の可能性としては、「もう一度APJCを開催し、中小企業からの問題を提起した場合、IATAとして受け付けられるのか」との質問に対して、拒絶するものではないとの回答があったという。中小の旅行会社の意見が反映されていないとの指摘に対して、JATAでは4月1日から「JATA副会長の会社」、つまりグローバル・ユース・ビューローをメンバーに加えており、再度開催されればこれまでとは異なる議論が展開される可能性もある。また、先ごろには観光庁がIATAからヒアリングを実施する意向を示しており、参加者からは観光庁の対応にも期待したい考えが聞かれた。