マカオ観光局、MICE誘致を本格化−独自の強みを活かして需要取り込みへ

  • 2009年3月18日
 マカオ観光局は、MICEの誘致を本格的に開始した。マカオ観光局日本代表の榊原史博氏は、「これまでは(マカオが)日本のMICE市場で要求される水準にはまだ及ばない部分があると考えており、積極的に取り組んでこなかった」という。しかし、大型の団体が毎月のように訪れるようになるなど、需要が先行して増加したため、積極的なプロモーションの展開に踏み切った。3月17日には阪急交通社とジャパングレーラインと共同で、2社の顧客を中心にオーガナイザーを集めてセミナーを開催し、マカオでのMICEの魅力をアピールした。

 榊原氏によると、MICEのうち最大のターゲットはインセンティブで、人数や単価などの特性は限定せず、広くアプローチしたい考え。マカオのメリットは、時差が1時間であることや、質の高いホテルが多く、客室数も十分であること、移動時間が短くコンパクトな旅行が可能なことなど。「大航海時代に東洋と西洋が初めて出会った場所で、日本は大航海時代の目的地」であることから、大航海時代の「ロマン」と日本を結びつけて訴えられることも活用する。また、「世界遺産」や「食文化」などを打ち出し、「誰にも負けないオンリーワン、ナンバーワン」なブランドの構築を長期的な計画として進めていることも強みだ。

 課題として、例えば直行便の不足が考えられるが、榊原氏は「現在でもマカオへの日本人訪問者数のうち、直行便の利用者は10%に満たない」とし、香港線を活用すれば問題ではないと説明。チャーター便も航空会社が機材を小型化しているため、設定しやすくなってきていると語る。またセミナーでも、マカオの魅力をアピールするだけでなく、街がコンパクトであるためプログラムが限られることなど改善点はあると認め、要望を汲み取って実現できるようにしたい考えを説明した。

 なお、旅行会社との関係では、まずは「熱心に取り組んでくれる会社」を後押ししたい考え。これは、パッケージ商品の造成支援と同じスタンスで、意欲のある数社が伸びることで他社にも意欲が波及し、全体の底上げにつながるとの戦略に基づいている。