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花で旅する世界(1)南アフリカ ナマクアランド

  • 2009年3月16日
 桜の開花も間近。本格的な春のこの季節は穏やかな気候に気分も明るく、花の名所を訪れる計画をたてている人も多いだろう。日本の桜は世界に誇れる美しい花だが、海外にも異なる風情をもつ花の名所が存在する。それは旅の目的となりうるほど見ごたえあるものだ。今週はそんな旅のメインともなっている、海外のお花畑やフラワーフェスティバルについて紹介する。

荒野を彩る「神々の花園」

 色鮮やかな花が広い大地を絨毯のように埋め尽くす、楽園を彷彿とさせる場所がある。南アフリカ共和国西部、ナミビアとの国境に近い北ケープ州のナマクアランドだ。半砂漠の荒野が延々と続くこのエリアが、冬の終わりにその様子を一変させる。黄、オレンジ、ピンクや白などの花が、雨の後でいっせいに花開くのだ。この世の春を一夜にして招き寄せたかのようなその光景は感動的で、「神々の花園」とも呼ばれている。

 地球上にある各大陸の西岸には、偏西風の影響によりできた西岸砂漠が広がっているが、なかでも南緯30度付近に位置する3つの大陸の西岸砂漠は、3大ワイルドフラワーの土地として知られている。それがチリのアタカマ砂漠とオーストラリアの西オーストラリア州、そして南アフリカ共和国のナマクアランドだ。いずれも乾燥した大地で、ある時期一斉に咲き乱れる花が見られることが共通している。

 ナマクアランドではおよそ3000種の植物が見られ、その多くが固有種だ。植物学者のみならず、花好きならば魅力を感じずにはいられない。花の時期は8月から9月にかけての数週間から、長くても2ヶ月程度。多くの種類の花のうち、大地をオレンジ色に染めるデイジーが有名だ。1週間ほどの短い間だが、広大な地を一面に咲き誇る。場所によって開花時期に多少のずれがあるので、移動すれば花盛りの場所に遭遇する可能性は高くなる。花は気温に敏感で、摂氏17度以下になると閉じてしまうという。天気のいい日の午前10時から午後4時くらいがベストの時間帯だ。

 ナマクアランドへ行くには、ヨハネスブルグから飛行機で1時間30分ほどのアピントンへ向かい、そこからナマクアランドの中心地、スプリングボックへ。バスで4時間から5時間だ。ケープタウンから行く場合、バスで約8時間30分。日本からのツアーは、ケープ半島もしくはビクトリアの滝とあわせてナマクアランドを訪れる旅程が多い。ただし自然条件に影響されるので、時には期待していたような景色が見られないこともあるようだ。確実に花を見るため、個人旅行者のなかにはケープタウンに長期滞在し、開花情報を得るとナマクアランドに向かう人もいるという。

 ナマクアランドの花鑑賞について、「現地の日差しは非常に強いので、帽子と日焼け止めの持参を」と、南アフリカ観光局ではアドバイスしている。また花の時期、多くのホテルは旅行会社におさえられてしまうので、個人旅行者の手配は、早めのホテルの確保が必要だ。その際は、規模の大きい都市で探すほうが見つけやすいとのこと。

 日本の3倍以上もの面積をもつ南アフリカでは、花以外の楽しみも多い。北ケープ州のほかの見どころには、世界第6位のスケールをもつオーグラビースの滝や、サファリができるリヒテルシャルト国立公園などがある。また西ケープ州のランバーツ・ベイは、伊勢エビがおいしいことで有名な港町。同じく西ケープ州のクランウィリアム一帯はルイボスティーの世界唯一の産地で、畑や工場の見学が可能だ。


▽南アフリカ観光局
http://www2.southafrica.net/index.cfm?CountryProfileID=8