訪日2000万人には「第二の開国」必要−政府、構造的な変革に取り組みへ

  • 2009年3月16日
 政府は3月13日、第13回観光立国推進戦略会議を開催、2020年の訪日外客数2000万人に向けて、「構造的な変革」をめざす方針を確認した。2000万人時代に向けては、2008年6月、観光庁設立を前に開催した観光立国推進戦略会議で、課題を整理する「観光実務に関するワーキンググループ(WG)」の設置を決定。WGは2月まで4回を開催して議論し、今回の観光立国推進戦略会議で報告書を提出した。今後は「(WGの提言をふまえて)各省庁が課題に取り組むことが基本」(内閣参事官の藤田耕三氏)で、観光庁を中心に政府として中長期的な取り組みを開始する。

 WGからの報告は、「訪日外国人2000万人時代の実現へ−もてなしの心によるあこがれの国づくり(第二の開国)−」と題し、目標と施策の方向、留意点を整理。目標は「国際交流(相互理解)」「経済活性化(全国・地域)」、施策の方向は「海外プロモーション」「受入体制の整備」「観光産業の国際競争力強化」「国際会議・イベント」にまとめた。

 このうち、海外プロモーションは、「日本ブランドの確立」を重視。日本の多様性を軸に「プレミアム・デスティネーション」としてのブランドを作り上げ、他国と差別化することを提言した。また、地方の魅力発信や、重点市場にインドやロシア、マレーシアなど10ヶ国を加えることを盛り込んだ。受入体制の整備では、関係者の役割分担と計画的協議が重要とし、国の役割としては目標設定や環境整備、しくみづくりと訴えた。具体的には、出入国や外国語の表示・案内、景観、観光統計整備などだ。

 観光産業の国際競争力強化では、価格競争ではなく、価値競争を志向するべきと強調。例えば、宿泊業の接遇改善や人材育成が課題という。また、旅行会社の訪日市場への取り組みを促進するため、海外での規制緩和にも取り組むべきとした。国際会議・イベントでは、これまでは国際会議の誘致に注力してきていたのに対し、MICE全体の振興に対象を拡大し、国を挙げて推進する必要を説明。施設やアクセス面の国際競争力の強化の必要性も訴えた。

 なお、こうした提言を受けて、観光立国推進戦略会議の座長を務めるウシオ電機代表取締役会長の牛尾治朗氏は、「我が国が持続的に成長するためには『閉じる』ではなく、『開く』、『受け入れる』姿勢が重要」とし、観光市場の成長が国益にもかなうと談話で強調。その上で、2000万人に向けては、「『第二の開国』ともいえる開かれた社会構造を実現していくことにつながるもの」とした。