全日空、「緊急対策」実施へ、通期に赤字転落予想−第3四半期は92%減益

  • 2009年2月2日
 全日空(NH)は09年度に「緊急対策プラン」を実施し、10年に予定される首都圏空港の再拡張後の成長につなげる方針を固めた。世界的な景気後退や需要減により、2009年3月期(2008年4月1日〜2009年3月31日)の連結業績を当初の黒字予想から赤字の見通しに下方修正。また、現行の08年度から11年度までを対象とした中期経営戦略を、09年度からの戦略に練り直す考えであったが、「将来を読むことが困難」(NH広報室)であることから、09年度は当面の危機の打破に取り組み、期中に10年度から13年度の中期経営戦略を策定することを決めた。

 緊急対策プランの具体的な取り組みは、3月末までに決定するが、(1)需要の減少に応じた事業の見直し、(2)コスト面での事業構造の抜本的強化、(3)人件費の削減を進める方針。事業の見直しでは、すでに09年度の航空輸送事業計画を策定しているほか、供給調整や生産資源の再配置も進める。コスト面では、事業規模や生産量を抑制し、一般管理費やオペレーションコストの抜本的な見直しを推進する。また、戦略的投資以外の投資の一部延期や規模の縮小も進める。人件費については、役員報酬の減額をはじめ、人件費削減策を実行する予定。

 10年の首都圏空港の再拡張に向けては、(1)フリート戦略、(2)商品マーケティング戦略、(3)グループ事業構造の更なる強化、(4)事業戦略を掲げる。このうち、フリート戦略は、ボーイングB787型機の初号機を10年2月に受納し、11年度末までに約20機導入。これにより、燃費効率や商品競争力を高める。また、事業戦略のうち国際線は、首都圏空港の容量拡大による発着枠の増加を最大限活用し、欧米の長距離路線を軸に路線を拡充。提携戦略も深化し、ネットワーク競争力の強化を図る。


▽09年3月期の純損益は90億円の赤字を予想、売上高も600億円減

 通期の業績予想は、純損益が当初予想の170億円の黒字から90億円の赤字の見通しに下方修正。売上高は当初の1兆4600億円から1兆4000億円、営業利益は550億円から80億円、経常損益は290億円の黒字から100億円の赤字に変更した。

 第3四半期(2008年4月1日〜2008年12月31日)の連結業績では、売上高が前年比3.0%減の1兆1074億2400万円、営業利益は57.1%減の403億3200万円、経常利益は71.1%減の227億5500万円、純利益は92.0%減の94億1800万円。旅客部門では、国際線、国内線ともに旅客数と収入が前年を下回っており、このうち国際線旅客部門は、旅客数は6.5%減の340万人、収入は0.2%減の2393億円であった。ただし、2008年4月から開始した羽田/香港線では平均搭乗率が70%を超えて好調に推移したという。


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